2016 Fiscal Year Research-status Report
ハプティクスのもたらす感情伝達や細かいニュアンス伝達「あうんの呼吸」実装の研究
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16K00705
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
久保 雅義 京都工芸繊維大学, デザイン・建築学系, 教授 (20379069)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | Haptics / IPAS / PANAS |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度本研究では、Personal Intelligent Assistant Systemを活用してHAPTICS実装化に向けたFSを行った。情報にある振動を付加し、その情報の伝わり方が変化するかどうかの調査を行った。このことは情報に付加する振動のパターンと情報の伝わり方との関係性を明らかにすることができると考えた。具体的には、1)振動の付加により、わかりやすく情報を提示することと情報のやり取りをスムーズに行うことができる。2)振動付加によりUXデザインは、楽しいなどの新しい価値を提供することができる。である。本研究の印象の評価はPANASを用いた。調査は「振動パターンの印象評価」と「振動を付加した情報に対する印象評価」の二つである。振動パターン構成要素が印象に与える影響について、スマートフォン搭載のアクチュエータが生成すできる振動パターン要素「振動の長さ」「振動の間隔の長さ」「振動のリズム」の三要素が、振動パターンの印象に与える影響について評価実験をした。 結果は、①振動パターンは「晴れ」、「雨」などの情報の(ポジティブ、ネガティブ度合いの)違いに関わらず、同様に印象の変化に影響を及ぼす。②情報に振動パターンを付加した場合、情報の印象は、「振動なし」「間隔1000ms」「間隔100ms」の順によりポジティブな印象を受ける。ネガティブ度合いについては「間隔1000ms」のときに最もネガティブ。このような傾向は全ての天気「晴れ」「くもり」「雨についても同様であった。③振動が付加された情報の印象は、その振動パターンと同じ印象を受ける。ポジティブな印象の振動パターンを情報に付加するとよりポジティブな印象を抱く。 このことから情報を伝える際に声色や表情のように、振動パターンが情報の受け取り方に影響を与え、印象を操作することができることを示唆している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究はハプティク(振動インタフェース)研究の応用・実装化に際し、感情の伝達や細かいニュアンスが伝達できれば、より効果的な伝達=「あうんの呼吸」コミュニケーションをはかることができると考え、パプティクス活用に関して「あうんの呼吸」コミュニケーションの可能性を探るとしている。本年度は、Intelligent Personal Assistant Systemを用いて実装のFSを行い、よりポジティブな印象を持つ振動パターンを、情報に付加すると、その情報に対してよりポジティブな印象を抱くことが検証された。このことから情報を伝える際に声色や表情のような細かいニュアンス=「あうんの呼吸」コミュニケーションの一端を垣間見ることができて、振動パターンが情報の受け取り方に影響を与え、印象を操作することができることが示唆できた、また結果の一端を3つの査読付論文にまとめた。①Applicability of HAPTICS for Universal Design- A Study to Develop a New System for Visually Impaired People-2016AHFE掲載同プロシーディング、②Universal Design Utilizing Haptic Feedback to Improve Touchscreen Operationsー2016IAUD掲載同プロシーディング、2016IAUD最優秀論文賞をいただいた。③触覚フィードバックがもたらすタッチパネル操作改善の研究(コメンテーター論文)日本福祉のまちづくり学会2016に投稿し評価をえた。2016AHFEは三笠宮瑶子女王殿下招待セッションである。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究はハプティク(振動インタフェース)研究の応用・実装化を引き続けるとし、感情の伝達や細かいニュアンスが伝達できれば、より効果的な伝達=「あうんの呼吸」コミュニケーションをはかることができると考え、「あうんの呼吸」コミュニケーションの可能性をひき探るとしている。とくに視覚障害者と健常者を繋ぐユーザビィリティ評価研究にベースに「あうんの呼吸」に関して詳細な要件を抽出する。高齢者、視覚障害者との振動を付加した情報交換についての共通性や差異を確認し、最終的にはスマートフォンへの実装条件を抽出する。本研究の特徴としては、今まで手をつけられていないスマートフォンへの振動を付加した情報交換で、ある種の感情の伝達や細かいニュアンスの伝達が可能か、実検証より導き出すことは独自性が高いと考えている。ハプティクスの要素(振幅、時間、波形、パターン)と感情表現伝達の相関を、利用者毎(視覚障害者、後期高齢者、健常者)に調査し、利用者にとっての振動付加通信の最適値、普遍値を抽出し共通項を探る。最終的にフラットタッチパネル上に、振動付加による「あうんの呼吸」原理モデルを設計し、「あうん」の条件確認と情報伝達の基本モデルを開発する。
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