2016 Fiscal Year Research-status Report
上腹部柔軟度を主要指標とする次世代ヘルスケアシステムのデザイン開発
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16K00715
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
加藤 大香士 名古屋市立大学, 大学院芸術工学研究科, 准教授 (90362285)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 予防医療 / 臨床医療デザイン / 計測システム / 自律神経反射 / 生体情報 / 触診 / ヘルスケア |
Outline of Annual Research Achievements |
研究協力機関(石垣ROB療法研究所)において、消化管の運動機能を活発化・正常化するための鍼灸療法と養生法とが長年行われ、多様な生活習慣病の改善がなされてきた。当該機関では、その加療経験から、体質改善と同時に上腹部の柔軟性が現れることがわかっている。逆に、過度のストレス、食生活や睡眠の乱れ等により上腹部の柔軟性が失われることもまた、患者への触診とヒアリングとによって一様に確認されている。上腹部の柔軟性には体調変化を如実に反映する特徴がある。 また、上腹部の柔軟性は、患者自身も触知できるものである。体調の変化を自身の体から感じ取れることは、自発的な健康管理のモチベーションの向上を促す。上腹部の柔軟度が、客観的にデータ化・可視化される手段を開発することで、臨床現場だけでなく、家庭においても日々使える、独自で有用なヘルスケアシステムの創出につながると考える。 そこで本研究では、1)上腹部の柔軟度を一般的な健康指標として客観評価する手法の開発、2)上腹部の柔軟度に基づく新しいヘルスケアシステムの提案開発、3)上腹部の触診用ウェアラブルセンサデバイスの開発を行うことを目的とする。 本年度は、研究協力機関にて熟練施術者による上腹部柔軟度の計測を行い、実証段階における上腹部柔軟度の計測装置に関しては基盤を構築することができた。計測データを蓄積すると同時に、アンケート調査も並行して行い、被験者の既往歴や体調変化を考慮した解析を行うと同時に、複数の被験者のデータ間に見いだせる共通項、相違点の検討を行える客観的評価指標と、それを解析する具体的な手法とを開発することが可能になりつつある。 現在は、複数の被験者自身が眼球圧迫動作を行い、自律神経反射を起こすことによって、その前後における呼吸の状態と上腹部の柔軟度とを測定した結果をもとにデータ整理を行っており、臨床医療の研究論文としてまとめているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の予定では、上腹部の柔軟性が自律神経バランスと連動する事実を実証するために、名古屋市立大学にて実証実験を拡張して開始することとしていたが、研究協力機関における計測実験とデータ解析、結果の解釈に時間を要したため、まだ上記に関しては着手できていない。現在構築中の研究論文を投稿後に、順次とりかかる予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
中核の理論を計測実験を拡張して行って補完していく予定である。本学の学生ボランティアをはじめ、科学的な知見をもとに名古屋市立大学病院とも提携してボランティアを募り、研究開発を加速させる。これにより上腹部柔軟度が人体力学的、生理学的な観点からもいかに健康の指標たり得るか客観的に実証していく。 またその先に上腹部柔軟度を解析、可視化できる汎用のセンシングシステムのプロダクトデザイン開発を新たに行っていく応用研究へと発展させる予定である。
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