2017 Fiscal Year Research-status Report
上腹部柔軟度を主要指標とする次世代ヘルスケアシステムのデザイン開発
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16K00715
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
加藤 大香士 名古屋市立大学, 大学院芸術工学研究科, 准教授 (90362285)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 予防医工学 / ヘルスケア / 生体計測 / 腹部 / 生理指標 / 生活習慣病 |
Outline of Annual Research Achievements |
先進諸国での死因別死亡割合の75%以上が生活習慣病であり、ヘルスケアと予防医学の方策が研究されている。本研究では、体が不健康な状態になるにつれて、上腹部の柔軟性が失われていくことが経験的にわかっており、そのメカニズムを人体力学的に解明することを目的としている。外科手術や投薬に依存するのではなく、人体の仕組みを活かしたヘルスケアが実践されれば、生活習慣病のケアと、生活習慣病になる前に予防することとが可能になり、医療費や薬剤費が国の財政を圧迫することも防止できることになる。ただし、人体力学や生理学に基づいて人体を活性化させる具体的な仕組みについては、現代医学的には解明されておらず、また、現代医学と異なる東洋医学的な手法においても混沌とした状況が続いている。生体システムの解明が途上であるにもかかわらず、健康や病気についてのあいまいな情報が過多である現代では、生活習慣に根ざした個人の体調把握が自発的かつ日常的に行え、さらに客観的にも評価可能な指標を提案したい。そのために、誰もが自分で感じ取れる上腹部の柔軟度を定量的かつ科学的に評価することにした。現在は、上腹部柔軟度の計測を研究協力機関であるクリニックに通うボランティアに対して続けており、データを蓄積しているところである。一般的に、迷走神経反射が自律神経系に影響を与えることがわかっているため、その前後で、呼吸に伴う上腹部の上下動と、上腹部を押した際の硬さとに変化が出るかどうかを検証している。計測を済ませたデータの抽出手法と解析手法に関して研究を行っており、その成果を論文化しているところである。 また、計測システムについては、臨床で用いやすいようにインタフェースまで含めたプロダクトデザインを行なっているが、計測の正確性を客観的に評価するために、ロボットアームを用いた精度検証実験を別途行い、その結果も含めての論文化を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
収集データの解析結果について個人差が大きく、考察について時間を要しているため。現状では、ボランティアの既往にまで踏み込んだ考察が必要であろうという認識に至っているが、ボランティアの選定条件や測定方法の改良をする必要があるかの検討も行なっている。ただし、今までの結果を論文として投稿する準備は整いつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までの研究成果を雑誌投稿や学会発表により公表していくとともに、測定対象であるボランティアを増やし、年齢、性別、健康・不健康の別などの分類もより厳密にした上で計測実験を推進する。そのために、客観的なデータ収集を行うための計測システムの開発も同時に進めている。このシステム開発に関しては、今までの熟練者による腹部の圧迫刺激のやり方を参考にした計測アルゴリズムの構築と、ボランティアに対しての安全が確保されるような仕様が必要であり、試作を進めながらデザイン開発を策定中である。
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