2017 Fiscal Year Research-status Report
管理不全状態にある植物資源を有効活用した仮設建築物のデザインと観光活性化への利用
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16K00716
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Research Institution | Asia University |
Principal Investigator |
松岡 拓公雄 亜細亜大学, 都市創造学部, 教授 (40315924)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永井 拓生 滋賀県立大学, 環境科学部, 助教 (60434297)
白井 宏昌 滋賀県立大学, 環境科学部, 准教授 (40772033)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 観光資源 / ヨシ / 仮設パビリオン |
Outline of Annual Research Achievements |
近江八幡市の西の湖は現存する琵琶湖の内湖として最大であり、湖岸に広がるヨシ原はこの地域ならではの景観である。しかし、ヨシ産業の衰退に伴い管理が行き届かなくなったヨシは、湖の風景を遮るほどに繁茂している。このような状況を危惧する声は多く、地元の有志と本研究代表者らが協力し、観光資源としてのヨシの新たな利用の模索を始めた。2016年度より、秋に行われ2日間で約3万人が来場する八幡堀祭りに合わせ、ヨシを使ったパビリオンを制作することとした。 八幡堀祭りは八幡堀を蝋燭で彩る夜の祭りである。繊細な無数のヨシが、夕闇にぼんやりと浮かび上がるようなデザインにしたいと考えた。また、ヨシを使う上で、ヨシのみで成立する構造に拘ること、なるべく沢山のヨシを使うことを目標にし以上の目的のため、ヨシ同士を素早く接合する方法を考案した。また、非常に軽量な構造体であり、風荷重に対し高い強度と剛性が求められた。2016年度は、ドーム型の形状と「セミランダムトラス」を開発し、構造的な挙動と性能の評価を行っている。 2017年度はヨシを束ねた柱とヨシで組んだトラス屋根からなる軸組み型の形状とし、屋根から無数のヨシを吊るし、ヨシ原に分け入ったかのような雰囲気を感じさせるようなデザインとした。4~8月にかけてデザイン、素材、工法等について検討を行い、9~10月にかけて建設ワークショップを実施した。 工事完了後、10/16-17に行われた八幡堀祭りにてヨシパビリオンを一般公開し、多くの来場者に見てもらう機会を得た。その後、1か月間の展示期間を経て、解体・撤去した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初計画では、3か年で1度の実大規模の空間や展示、インスタレーション等を計画していたが、初年度、第2次年度と定期的にそれぞれ特徴的な仮設パビリオンの建設を行うことができた。実際に多くの観光客、建設敷地の地元の人々に多く周知する機会を得ており、当初計画以上の成果を得ていると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度においては、本研究期間以降における活動の定着を期待し、新たな敷地・場所での空間展示方法の開発を試みる。具体的には、過去2年は屋外展示の方法を検討してきたが、近江八幡市内の空き家状態となっている古民家・町屋等を利用し、管理不全状態にある自然素材(竹・ヨシ・間伐木材等)を組み合わせた魅力的な空間インスタレーション、観光資源開発に着手したいと考える。
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Causes of Carryover |
材料費の節約や打ち合わせ等の合理化により節約が可能となった。翌年度の展示計画の材料費等として使用する予定である。
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