2018 Fiscal Year Research-status Report
自発的・持続的な学習を誘う良いエクスペリエンスを醸成する情報提示方法に関する研究
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16K00717
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Research Institution | Hiroshima City University |
Principal Investigator |
高橋 雄三 広島市立大学, 情報科学研究科, 助教 (30326425)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 人間工学 / インタラクションデザイン / メタ認知 / ソースモニタリングエラー / アウトプットモニタリングエラー / 眼と手の協応 |
Outline of Annual Research Achievements |
道具やシステム等の使い方をユーザがデザイナーの意図した通りに習得するためには,設計者の認知モデルではなくユーザの学習過程をベースに同定した『良いエクスペリエンス』をソースモニタリング機能とアウトプットモニタリング機能に分けてタイムリーに呈示することが重要である.本研究では学習時に獲得したエクスペリエンスの影響が2週間程度持続することが先行研究で明らかになっている課題を用いて両機能の諸特性(学習と保持)を明らかにし,さらに,その呈示タイミングを実験的に統制することで,ユーザの自発的・持続的な学習を促進させる効果が得られることを実験的に検討することを目的とする. 平成30年度は大きく分けて2つの事柄に取り組んだ. 1つ目は,平成29年度までに得られた「眼と手の協応」を用いた「ソースモニタリング機能」と「アウトプットモニタリング機能」の状態推定アルゴリズムに基づいた,先行経験の『良』『悪』の判定に関する検討とのその先行経験の『良』『悪』がパフォーマンスに及ぼす影響についての検討結果の公表である.本成果を国際会議の場において議論し,新たな実験系の構築につなげる予定であったが,自然災害の関係で中止となった. 2つ目は状況のモニタリングに関する先行経験が協調行動の誘発・維持に及ぼす影響に関する検討を行った.研究開始当初は2名の間の協調行動におけるリーダーシップの役割について検討したが,2017年度中に複数の参加者による協調行動の発現に関するデータを得ることができ,3名以上のチームにおける先行経験とチームパフォーマンスの関係を定量的に検討した.検討の結果,『良いエクスペリエンス』は参加者個々人の行動変容を促すのではなく,チームとしての協調行動の変化(協調行動ダイナミクス)を促すことが,協調行動ダイナミクスの定量化によって示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究は当初,2つの実験課題を用いてソースモニタリング機能とアウトプットモニタリング機能を推定することを想定した. ソースモニタリング機能に関する課題については,研究開始当初,2名の間の協調行動の誘発を想定した.しかし,研究成果の公表を通じて2名以上のチームに対する協調行動の変容(協調行動ダイナミクス)を捉える重要性が増したことから,2017年度に新たに3名以上のチーム行動を測定し,2018年度は3名以上の協調行動ダイナミクスの定量化を優先したため,研究に遅れが生じた. また,アウトプットモニタリング機能に関する課題では,2017年度に「眼と手の協応関係の変化」からメタ認知状態を推定するアルゴリズムを開発した.2018年度にその成果に基づき,国際会議において論文発表・議論を通じて次のステップに進む予定であった.しかし,自然災害により国際会議に参加することができず,また,その計画・軌道修正を2018年度内に終了することができなかった.
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Strategy for Future Research Activity |
ソースモニタリング機能に関する課題で採取するデータ解析に必要なソフトウエアを2018年度中に導入し,2016年度新規導入設備との連携を強化することで,現在,解析速度を向上させる体制を整えつつある. また,アウトプットモニタリング機能に関する課題では,研究成果の取り取りまとめを進めるとともに,今までの研究成果の中で認められた問題点を改善するための方策を至急とりまとめ,新たなに手段を通じて,本研究のテーマである『良いエクスペリエンスを醸成する情報提示方法』につながる知見の導出を目指す.
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Causes of Carryover |
2018年9月の台風21号のために関西国際空港が閉鎖され,論文発表を予定していた国際会議に参加することができなかった.併せて,2017年度の遅れを取り戻すためも実験系の構築に遅れが生じた. 2019年度は当該論文発表による議論を埋める代替公表を目指すとともに,ソースモニタリング機能とアウトプットモニタリング機能をあらためて推定する実験系の構築を目指す.
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Research Products
(4 results)