2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K00728
|
Research Institution | Osaka Institute of Technology |
Principal Investigator |
白髪 誠一 大阪工業大学, ロボティクス&デザイン工学部, 准教授 (60635382)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
赤井 愛 大阪工業大学, ロボティクス&デザイン工学部, 准教授 (90578832)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 盲導犬ハーネス / 歩行時負荷の軽減 / 形態最適化 |
Outline of Annual Research Achievements |
盲導犬と盲導犬ユーザーの双方の負担を軽減するための新しい形態の盲導犬用ハーネスを創生するために,形態最適化を行った。昨年度に提案した「y字型カーブハンドル」は歩行実験の結果,盲導犬の両肩への負荷を均等にすることができるが,その製作においてステンレス鋼棒を曲げ加工し,合成皮革で被覆しているため生産性の向上と軽量化が課題となっている。そこでCFRP等のプラスチック系の材料を対象とした新しい形態の検討を行った。形態最適化には進化的構造最適化の手法の一つであるBESO法(Bidirectional Evolutionary Structural Optimization)を用い,解析プログラムはKaramba(ver.1.2.2)を使用した。 最適化の初期条件となる設計領域は「y字型カーブハンドル」のメインアームとサブアームを外縁とし,盲導犬の背部を稜線とする3次元曲面で定義した。これにより,盲導犬の背中に沿うような形状が得られている。この設計領域を三角形シェル要素で要素の一辺の長さが5mm~10mmになるように分割し2365個の要素で構成されている。境界条件はハンドルの取付け位置をピン支点とし,荷重は持手位置に集中荷重P=10Nを後方に加えている。材料特性はプラスチック系材料を想定している。初期のシェル厚さはt=10mmとして,形態最適化においてはこのシェル厚さをt=0mm~10mmの範囲で変化させて最適解を得るものである。 解析の結果,3次元曲面を設計領域に設定したため面外曲げの影響が大きく,収束計算の安定性を確保するために解析条件をより細かく設定する必要はあるが,荷重を伝達可能な形態を得ることができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度は,盲導犬用ハンドルにプラスチック系材料を適用した新たな形態を創生するために形態最適化を実施した。得られた形態は荷重を伝達可能な形態ではあるが,使用性についての検証には至っていない。これは,初期条件となる設計領域の設定が解析結果に与える影響が大きく,適切な設計領域の設定に時間を要したためである。盲導犬への負荷が均等になる「y字型カーブハンドル」の形状に基づく3次元曲面を採用したことで適切な設計領域が得られたと考えており,今後,最適解の精度を高めることができる。 「y字型カーブハンドル」については有限要素解析を行い荷重伝達状況の把握を行った。平成28年度に実施した歩行実験の結果と解析結果にはあまり良い相関関係は確認されなかった。これは,盲導犬ユーザーがハンドルを持った際の負荷を与える方向が解析での荷重条件と異なっていることが考えられる。モーションキャプチャーによる計測結果より盲導犬ユーザーからの負荷の与える状況を詳細に分析する必要が認められた。
|
Strategy for Future Research Activity |
形態最適化を実施した結果,荷重伝達が可能な形態を得ることができた。得られた最適解の検証を3Dプリンタによる造形を用いたプロトタイピングにより行い最適解の精度を高めることを目指す。 「y字型カーブハンドル」を対象とした有限要素解析の結果は歩行実験で得られた結果とあまり良い相関関係が認められなかったため,すでに実施しているモーションキャプチャーによる歩行時の盲導犬ユーザーの左腕の計測結果を詳細に分析し盲導犬ユーザーがハンドルを介して盲導犬に負荷を与える状況を把握する。これにより,盲導犬ユーザーが盲導犬へ与える負荷の状況を定量化することが可能であり,形態最適化における荷重条件へ反映させる。 歩行実験,形態最適化およびモーションキャプチャーによる計測結果を統合して,盲導犬とユーザーの双方の負担を軽減するハンドルの開発とその検証を目指す。
|
Causes of Carryover |
モデリング用に購入したワークステーションが当初の予定より安価で購入できたため,若干の次年度使用額が発生した。生理計測について計測機器を購入予定であったが,既存のモーションキャプチャーにより精度のよい計測が可能であったため計測機器の導入に至らず次年度差額が発生した。 既に導入している構造解析プログラムおよびモデリングプログラムのバージョンアップ費用,3Dプリンタで造形するための材料費を見込んでいる。歩行実験で使用する計測機器は保有している機器を使用するが,計測治具の作成に若干の費用を見込んでいる。
|
Research Products
(1 results)