2016 Fiscal Year Research-status Report
地域博物館の有する骨格標本を3Dプリンターを用いて活用する手法の開発と実践
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16K00731
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Research Institution | Kobe Design University |
Principal Investigator |
吉田 雅則 神戸芸術工科大学, 芸術工学部, 准教授 (90589954)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西澤 真樹子 大阪市立自然史博物館, 学芸課, その他(移行) (00446741)
見明 暢 神戸芸術工科大学, 芸術工学部, 助教 (40512463)
和田 岳 大阪市立自然史博物館, 学芸課, 主任学芸員 (60270724)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ラピッドプロトタイピング / 美術解剖学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本申請研究においては、博物館や資料館に収蔵されている動物の骨格標本から「手」を題材とし て選び、フォトグラメトリーを用いた3Dスキャンによるデータ化と、3Dプリンタによる立体出力、手作業による組み立てにより正確なレプリカを作成を行い、一般に向けた発表を行うことを主眼としている。 当該年度においては、まずフォトグラメトリーによるクリーンな3Dデータの取得からスタートして、作成したデータを確実に3D出力し、組み立てを行うノウハウの確立を目指した。スキャンについてはおおむね成功し、調整を繰り返す中できれいなデータを得ることができるようになったが、効率化や成功率といった面で今後の改善を行う必要性を感じている。3D出力や組み立てに関しては問題なく遂行できている。 これまでの成果の具体例として、神戸市立王子動物園と大阪市立自然史博物館の協力体制のもと、ゴリラとライオンの手の骨の等身大と二倍サイズのレプリカを作成することができた。 成果の発表では、科学技術館で開催された博物ふぇす、京都都メッセで開催された「いきもにあ」、大阪市立自然史博物館で開催された「大阪自然史フェスティバル」にブースを出展し、広く一般に研究成果の好評を実施することができた。 こうした活動を通じ、研究手法の確立や効率化を進め、地域博物館との信頼関係を築くことができている。今後は当該年度の成果を有効に活用し、さらに標本のレプリカ作成の点数を継続して増やしていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
フォトグラメトリーによる3Dデータ化は全てのケースで必ず成功するとは限らず、さまざまな条件のもとで試行錯誤を行う必要がある。当該研究のように、博物館での出張スキャンを行う場合には、毎回状況が異なるため、確実に成功させることが非常に難しい。 そのための試行錯誤に思ったよりも時間がかかっていることが、研究全体がやや遅れている原因である。 ただし、2点の手のレプリカを作成するためには計、60個もの骨のスキャンが必要になるが、これらについては時間がかかったものの全て成功している。 今後はそうした部分を改善し、効率化を行う努力を行っていく。
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Strategy for Future Research Activity |
研究の方向性については変更は無い。 ただし、3Dデータの取得点数は当初予定していたよりやや遅れている。 本年にはいってから、安価で正確なデータを得られるハンドヘルドタイプのスキャナーが販売開始しているので、そうした機器の導入を検討してデータ取得の方法について効率化や改善を図っていく。
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Causes of Carryover |
光造形方式の3Dプリンターや材料費、熱溶解方式の3Dプリンターの交換部品や修理費について、当初予定したよりも高価であったり多く必要となったことが理由である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
フォトグラメトリの機材については初年度で充分完備することができた。 次年度ではハンドヘルドスキャナーの導入を予定しているが、製品の価格改定もあり、新たな機器も出ている。それらを検討の上、目的と価格に合った製品を選定する予定である。
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