2016 Fiscal Year Research-status Report
地方自治体における消費者市民社会を目指す消費者教育施策の推進指標に関する研究
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16K00748
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
色川 卓男 静岡大学, 教育学部, 教授 (90293589)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 地方消費者行政 / 消費者教育 / 消費者教育施策 / 基礎自治体 / 消費者教育推進計画 / 消費生活基本計画 / 消費者教育推進法 / 消費者市民社会 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、第1に地方自治体による消費者教育施策の水準に関する理論的研究を進めた。その一つの成果として、「消費者教育の射程」という論文を執筆した。そもそも消費者教育の水準や指標を検討するためには、まず消費者教育の範囲を明確にしていく必要がある。それについて、国や諸論者の所説をふまえても、明確でないところが残り、射程について改めて検討する必要を示すとともに、その方向性として、御船美智子氏の構想を示した。第2に消費者庁の「現況調査」の再分析を進めた。以前から消費者庁から「現況調査」をお借りしていたが、本年度は最新年度をお借りすることができた。おかげで対象となる予定の自治体の平成21年度から27年度までの「現況調査」データを整理した。これによって、「現況調査」で把握できる部分とできない部分を明確にすることができ、次年度に行う本調査のアンケート項目を調整することができた。第3に予備調査として、静岡県内市町における地方消費者行政活性化基金利用の実態調査を実施して、基金の具体的な利用状況と限界を把握するとともに、全国各地の消費者教育推進計画の策定状況とその内容分析を行い、推進指標と密接にかかわる推進計画の内容について検討を加えた。前者は基金の利用状況について、後者は推進計画の特徴について、どのようなパターンがあるのかを把握することができ、全国調査においてもいかせる情報を収集することができた。その他、自治体と学校との連携状況把握するための一つとして、大学との自治体との連携を調べたり、日本消費者教育学会等での報告から知見を得たうえで、発表者との意見交換を行った。また、地方消費者行政の実態と今後についての方向性をみていくためには、各自治体の取り組みを遡ることも重要で、そのため、各地図書館での地方消費者行政及び消費者教育関連資料の収集も行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度計画していた、地方自治体による消費者教育施策の水準に関する理論的研究、消費者庁「現況調査」の再分析、全国調査に向けて、調査票作成などの準備作業のいずれにも手を付けることができたこととともに、さらに予備調査としての静岡県内市町における基金利用の実態調査や全国各自治体による消費者教育推進計画の策定状況とその内容分析まで手を広げることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は、第1に全国調査を実施する。「現況調査」分析など前年度に行った準備作業を活かして、全国の人口19万人以上の全て141の市区を対象にしたアンケート調査と、特徴がみられる市区のインタビュー調査を進めたい。インタビュー調査ではできるだけ対象となる自治体の消費者行政部局とともに必要と考えられる諸機関にも伺い、具体的に取り組み状況をインタビューし、どのような実態であり、今後どのように進めていくのか、最終的な目標は何かだけでなく、アンケート調査だけでは把握できない意識なども含めて詳細に把握したいと考える。 第2に、前年度に進めた消費者教育推進計画の策定状況とその内容分析については、学会発表を行い、学術誌に投稿を行いたい。 第3に、前年度に進めていた大学の消費者教育関連の授業がどの程度あり、どの程度、自治体が関わっているのかについて、学会発表を行い、学術誌に投稿を行いたい。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由としては、まず、研究図書と謝金が予定より少なかったことがあげられる。研究は順調に進んでいたが、これまで研究を進めたところに関しては、既存図書でほぼカバーできたことや謝金などその他の支出に関しては、節約に努めたため、このような結果になった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は、全国都道府県の県庁所在地を入れるために、当初の予定より多い全国141自治体に対して、アンケート調査とインタビュー及び施設調査を行うため、この調査研究にかかる支出が想定より多くなる可能性があること、また研究を深めるためには、該当自治体の歴史もできるだけ把握する必要があり、各自治体による消費者行政の概要などの資料を収集する必要があるため、それらに利用する予定である。
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