2016 Fiscal Year Research-status Report
しつけと称する虐待の生成メカニズム―未就学児の保護者を対象とした日韓比較
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16K00750
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
李 キョンウォン 岡山大学, 教育学研究科, 教授 (90263425)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | しつけ / 児童虐待 / 国際比較 |
Outline of Annual Research Achievements |
日本と韓国では、2000年以降から児童虐待防止の関連法などの整備に基づいて、児童虐待防止のために様々な対策が整備されつつある。しかし、両国の現状をみると、虐待相談件数は年々増加しており、明確な虐待のみならず、しつけと称した虐待も増え、その結果、子どもの命までを奪う事件が後を絶たない。そこで、本研究では、しつけと称した虐待行為は、どのようなプロセスで生じるのか、また、なぜ続くのか、虐待のみならず、しつけと称した虐待防止を困難にしているメカニズムは何かを解明することを目的としている。 2016年度には、本研究と関連する先行研究と統計資料の収集を行うとともに、児童虐待防止のための団体において、担当者を対象にインタビューを実施した。日本も韓国も、全国の児童相談所等に寄せられた児童虐待相談件数は増加しており(2015年度:日本、103,260件、韓国:19,214件)、しつけと称した虐待が依然として起きていることを確認することができた。一方、しつけと虐待をともに扱っている研究はそれほど見当たらなかったことから、本研究を実施する意義を再確認した。 日本の宮崎市と韓国のソウル市、春川市にある児童虐待防止専門機関と民間団体において、担当者を対象にインタビューを実施した。インタビュー内容は現在分析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
先行研究の分析と児童虐待防止に携わる担当者インタビュー分析を踏まえて、2017年度には、質問紙による調査を行う予定であり、その準備に向けて順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、両国において、未就学児の保護者を対象に質問紙調査とインタビュー調査を行う予定である。質問紙調査項目を設定、予備調査を行い、予備調査の結果を踏まえて修正した後、本調査を実施、分析する予定である。
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Causes of Carryover |
2016年度に質問紙調査のための項目設定と予備調査を行う予定であったが、実施計画を少し延長せざるを得なかった。その理由は、日本と韓国において、児童虐待防止専門機関における担当者インタビューを行い、そのインタビュー結果分析を踏まえながら、調査項目を設定する予定であったが、両国において担当者インタビューの日程が遅れていたために、質問紙調査に関連する日程も変更せざるを得なかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2017年度には、両国において計画通り、予備調査と本調査を行う予定で、進行している。
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