2016 Fiscal Year Research-status Report
幼児期の絵本を介した親子の相互作用から捉える子どもの語りの発達的検討
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16K00764
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Research Institution | Seitoku University |
Principal Investigator |
藪中 征代 聖徳大学, 教職研究科, 教授 (50369401)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
玉瀬 友美 高知大学, 教育研究部人文社会科学系教育学部門, 教授 (90353094)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 幼児期 / 絵本の読み聞かせ / 相互作用 / 語り / 発達 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、絵本の読み聞かせ場面を親による絵本の「読み聞かせ場面」と子どもがお話をする「語り場面」に分け、そこでの親の発話や行動が子どもの発話にどのような影響を及ぼし、子どもの語りの発達とどのように関連しているかというプロセスを実証的に検討していく。平成28年度は満2歳児とその親15組を対象として絵本を介した親子の相互作用を検討した。具体的な研究の手順は次の通りである。1.平成27年8月から毎月2回対象児の家庭における絵本の読み聞かせの様子をビデオで録画した。使用した絵本は子どもにとって新規な文字のない絵本を中心とした。2.家庭での自由な絵本の読み聞かせの様子、絵本とのかかわりについて記入してもらった。その内容は現在、分析中である。3.絵本の読み聞かせに関する質問紙調査を実施した。家庭での読み聞かせ状況や親が捉えている読み聞かせの意義などをデータ入力した。この結果は、文字のない絵本の分析において活用していく予定である。 2歳児8月「ロージーのおさんぽ」の読み聞かせ場面から以下のことが明らかとなった。絵本の読み聞かせ場面における親子語りを節に分け9種類の下位カテゴリーに分類した。①絵本を読むルール、②心的な状態語、③身体的状態語、④不確定な表現、⑤否定的な表現、⑥登場人物の発話、⑦因果関係を表現する語、⑧擬音語・擬態語、⑨強調する表現。 これら9種類の使用頻度は、【登場人物の発話】、【強調する表現】、【心的な状態語】【擬音語・擬態語】が高かった。また、親によって使用カテゴリーに差が認められた。この差に対して、今後養育歴に加え、認知スタイル、心理的な個人特性などの視点から検討していく必要があると考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究対象者に関しては、申請の時に協力を依頼した家庭からの快諾が4月当初に得られている。また、親子の読み聞かせの様子についても1週間に1回程度、8ヵ月分の記録が得られており、その結果は分析済みである。その成果は、PECERA Ineernational 2017(July7-9,Cebu City)で発表する予定である。したがって、研究自体はおおむね順調に進展している。 ただし、当初計画では、平成28年6月から「親子の読み聞かせ」の調査を開始する予定でいた。しかし、本研究の倫理審査の手続きが予想以上に遅く、倫理審査受理が研究者の計画よりも2ヵ月間の調査開始時期が遅れ、平成28年8月から調査開始となった。そのため、当初計画した調査開始時の子どもの年齢が2歳ではなく、2歳2か月からとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は、平成28年度と同様に家庭における絵本の読み聞かせに使用する文字のない絵本を使用した読み聞かせと語りの場面を検討する。そのための文字のない絵本の選択については、絵本に精通した研究協力者とさらに検討していく。 絵本ダイアリーに関しては平成28年度のダイアリーについて、内容分析を行っていく。 平成29年度は対象児が満3歳になるので、幼児の語彙発達調査を追加する。また、家庭での読み聞かせの様子や子どもと絵本のかかわりなど、毎日記録するダイアリーとは異なった項目について、半年に1回ずつ定期的に実施する。
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Causes of Carryover |
ビデオの言語情報の入力に関して、平成28年度調査分が完了していないことが大きな原因である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
ビデオ入力に関しては依頼済みであるので、平成29年度分として請求する予定である。
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Research Products
(3 results)