2018 Fiscal Year Research-status Report
後期高齢者の「低栄養」を予防するための「食と心理的支援」の研究
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16K00768
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Research Institution | Kyoto Notre Dame University |
Principal Investigator |
加藤 佐千子 京都ノートルダム女子大学, 現代人間学部, 教授 (80233790)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長田 久雄 桜美林大学, 自然科学系, 教授 (60150877)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 女性高齢者 / サルコペニア / フレイルティ / 簡易型自記式食事歴法質問票 / 低栄養 / 食と心理 |
Outline of Annual Research Achievements |
「高齢者の低栄養とフレイルティ」を日本家政学会誌 69巻(NO6)pp.462-469(2018)に投稿した。ここでは、高齢者の健康長寿や介護予防と関連する低栄養とフレイルティについて解説し、フレイルティの評価基準の現状及び生活機能の評価指標を紹介した。文献をもとに詳細なフレイルティサイクルを作成して紹介した。家政学の領域においても研究者らがフレイルティについての理解を深めていくべきであることを指摘した。 本務校公開講座(2018年10月13日)において、「人生100年時代を生き抜くための心身の健康と食」と題して、高齢者の低栄養予防について研究成果と関連させて講演を行った。講演会では、日々の食事の大切さと、心豊かに過ごすことの重要性を一般市民を対象として講演し、結果の公表を行った。 また、「後期高齢者の「低栄養」を予防するための「食と心理的支援」の研究報告集(1)」を作成し、上記の公開講座において参加者(一般市民)に無料で配布した。報告集は、栄養摂取の事例調査結果と、アメリカにおける高齢者施設視察の結果(配食サービスの様子やメニュー、施設の食事サービスの方針など)から構成されており、カラー写真を取り入れてわかりやすく解説し、結果の公表に努めた。 「80歳以上独居女性高齢者の食品摂取状況とその課題-簡易型自記式食事歴質問票によるケーススタディー」を京都ノートルダム女子大学紀要第49号pp.1-13(2019)に投稿した。ここでは、協力者の活動状況や栄養素摂取量について詳細に分析した結果を示した。一人で元気に暮らし、日々の活動に積極性を示す女性高齢者においても、栄養状態の不適切なもの、サルコペニアや低栄養傾向が疑われるものの存在を明らかにした。高齢者の日常生活状況に合わせて定期的に栄養状態をチェックできる指標の開発の必要性を指摘した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
量的データの分析はすでに終了し、これまでに、論文と報告集にまとめて公開してきた。 現在は、12名の協力者のインタビューデータ(逐語録)の分析を実施中である。昨年度までに、M-GTA の手法により、分析テーマを「80歳以上独居女性高齢者の食行動の変化のプロセス」とし、分析焦点者を「80歳以上独居女性高齢者(本人)」として、「だれがいつどのように働きかけて、何が変わったのか」の部分を逐語録から抽出した。その結果、116種類の分析ワークシートを作成することができた。しかし、これらの分析ワークシートを見直し、さらに分析を行ってカテゴリー化をしたいと考えている。予想以上に多い数の分析ワークシートが作成されたため、統合したり、再カテゴリー化したりなどの作業が必要であると感じている。現在、分析ワークシートの結果をもとにして再分析に取り掛かっており、31年度も再分析に時間を費やすことから延長を申し出た。
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Strategy for Future Research Activity |
作成されたワークシートを一つずつ再検討し、カテゴリー化を進め、「食物選択に至る理由、至らない理由を本人がどのように認識しているのか」「影響を与えた人・出来事・物とは何なのか」「時間的経過による変動はあるのか」等について、分析し明らかにしていく。 特に高齢者自身がどのように認知しているのかという視点で、発言内容を細かく分析し、カテゴリー化を行う作業を繰り返していく予定である。 具体的には、116種類の分析ワークシートの内容をひとつずつ文脈に従ってさらに細分化した後、分類をする。その後、共通するカテゴリーを統合、整理し、食物選択の変化のプロセスを時間軸に沿って図示してまとめていきたい。
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Causes of Carryover |
2018年度は、分析についての研究打ち合わせを頻繁に行う予定を立て、東京―京都間の往復旅費の使用と学会誌投稿費用を予定していたが、研究打ち合わせを行った結果、再分析の必要が明らかとなり、当初の予定より往復旅費の使用回数が少なかった。また、学会誌投稿のための論文作成に至らなかったため、その経費が執行できなかったことから次年度に使用する必要が生じた。 最終の分析を再度別の角度からやり直す必要を感じたため、2019年度は、会話データを「再分析」する。このため、以下のような支出を予定している 1.分析補助者が必要となり、その謝金、アルバイト代の支出を予定している。2.結果公表のための出張旅費及び、論文投稿・掲載費の支出を予定している。3.「報告集1」を昨年度作成し配布したが、今年度実施する結果をまとめ、「報告集2」の作成・配布を計画しており、印刷費の支出を予定している。
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Research Products
(2 results)