2017 Fiscal Year Research-status Report
貧困家庭の家族コミュニケーション力を促進する学習支援プログラム実践モデルの構築
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16K00769
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Research Institution | Bukkyo University |
Principal Investigator |
三沢 徳枝 佛教大学, 教育学部, 准教授 (20563761)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 子どもの貧困 / 学習支援 / コミュニケーション / 子ども中心 / エンパワメント / 連携 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、生活困窮世帯の子どもと家族のコミュニケーションを促進し、子どもの自立を支援する学習支援の実践モデルを構築することを目指している。 具体的には、学習支援の支援者、参加者である子どもと保護者を対象とする研究の枠組みを設定した。平成28年度~平成29年度までに、学習支援の支援者を対象とする質問紙調査を実施、回収後、統計的に分析した。学習支援の方法と内容について、分析結果を基に、調査に協力した支援者に現場での実践を踏まえ、感想や気づきをインタビューで聴き取った。これは、各自治体では、学習支援を地域の活動団体に委託しており、多様な支援者が存在するという現状を踏まえ、支援者が学習支援に参加した子どもの変化を、支援者の立場からどう捉え支援しているのかを、より細かくすくい取るために、支援者へのインタビュー調査を行う必要があると判断したためである。さらに、学習支援の参加者の保護者に、学習支援をどのように活用し、どう評価しているのかを問うインタビューを実施した。また、学習支援の参加者の子ども(小学生)を対象に、参加している様子を観察し記録した。 支援者への質問紙調査の結果については、日本家政学会、日本家庭科教育学会他で発表し、学会誌等で報告した。今日の生活困窮者自立支援制度の下、学習支援を担う支援者の視点から支援の在り方を示した。今後、学習支援の支援者の人材養成の面からも意義があると考え、さらに実践現場での検討が期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度は、本研究の対象とする学習支援の支援者への質問紙調査を実施し、その分析結果を踏まえて、調査協力者(支援者)へのインタビュー調査に時間をかけた。そのために、支援者と学習支援の参加者である保護者へのインタビューの分析途中である。 また、参加者の子どもへの調査については、子ども(小学生)の参加している様子を参観し、観察記録を分析することとした。その理由として次の点をあげる。まず、これまで中学生を対象とする学習支援が中心で、既存の研究では中学生や高校生を対象とする研究知見が示されている。しかし、小学生への学習支援が各地で広がっており、小学生を対象とする学習支援の知見の蓄積が必要である。 本研究では小学生への調査について、保護者の了解が得られた場合のみ親子同席のインタビューを行った。しかし、拘束時間への配慮が必要であり、学習支援の参加場面の観察による方法が適当と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は、学習支援の支援者へのインタビューの分析と参加者(保護者)へのインタビューの分析を引き続き行う。また学習支援の参加者(小学生)の観察記録を分析する。 具体的には、テキストデータを統計・データマイニング手法で構造化されたデータに変換し、さらに統計的に分析を行う。これらを統合し、実践モデルの構成要素を示す。本研究の目的である学習支援による家族コミュニケーションを促進する実践モデル化を試みる。
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Causes of Carryover |
平成29年度内で支出するには不足が生じたため、平成30年度に使用することになった。 平成30年度の使用計画は、学会発表等による旅費と参加費、データ分析ソフトの購入、文献資料の購入等を予定する。
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