2018 Fiscal Year Research-status Report
保育者養成課程で保護者支援を実践できる力をもつ保育者を養成する教育方法の研究
Project/Area Number |
16K00770
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Research Institution | Soai University |
Principal Investigator |
中西 利恵 相愛大学, 人間発達学部, 教授 (60237328)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
曲田 映世 相愛大学, 人間発達学部, 助教 (10760944)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 保護者支援力 / 子育て支援力 / 4年制保育者養成 / 教育方法 / 保護者参加型教育プログラム / 活動記録 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、保育者養成課程において、保護者に対する支援を実践できる力をもつ保育者を養成するための教育方法を開発することである。 教育方法の開発として、保護者参加型教育プログラムについて課題改善と課題に対する教育効果の検証を行った。課題の一つは、1年間を通して直接的に保護者とかかわる場を定期的に継続して設定する方法の提案である。正課授業科目に年間6回の親子と交流する場を開設し、事前・事後指導を入れて計23回を通年で開講した。2~4年次にかけて継続して履修可能とし、本活動を繰り返し経験できようにした。二つ目の課題は、「親子とかかわることに対する不安や困難さがどうしても先に立つ」という学生の意識を改善する方法の提案である。正統的周辺参加の概念を導入し、2~4年次の科目を連動させることで、上の学年と一緒に活動することで支えられる教育方法を導入した。さらに、6回の活動を3回ずつに分け「担当制」と「非担当制」を試行した。 導入した教育方法の効果の検証は、活動記録の内容に対し、KHCoder3.(Windows 版)を用いてテキストマイニングによる計量分析と、ChaSen(茶筌)による形態素分析を行い、共起ネットワーク図を作成し、検討した。出現回数の上位にある語として2回生のみに「先輩」「ペア」「緊張」がみられた。「先輩がペアで近くにいてくれたため、安心感があり勉強になることも多かった」というよう記述から、上の学年と一緒に活動することによって支えられている状況がみとめられた。「緊張」「不安」という表現は経験を重ねた3・4回生のコメントにはほとんどみられなかった。担当制の回においては共起ネットワーク図から2回生と3回生で学びの違いがみられた。 また、グループ討議については、保護者との交流活動を継続して経験してきた4回生や3回生の討議内容から、具体的な教育方法の提案がみられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
保護者と学生とでの2年間のグループ討議の内容と開発した保護者参加型教育プログラムでの活動状況を検討した結果、実施方法の変更が必要であると判断した。保護者参加型教育プログラムを正課内で履修する学生(養成課程で保護者との交流活動を継続して経験する学生)を中心に構成するグループでの討議の充実度が高いため、活動を継続経験する4回生のグループのみ予定通り年2回実施し、2・3回生グループは編成し直し、かつ討議の実施時期をプログラムの履修終了後の年度末1回に見直した。また、1回生は活動経験がないため実施自体を見直した。結果、グループ討議実施総数が減少し、この点において当初の計画から進行が少し遅れることとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、開発した教育方法の一つである正課内で運用する保護者参加型教育プログラムを導入したカリキュラムの完成年度を迎えるため、4回生についてはプログラム履修学生のみで構成するグループ討議を導入する。さらに、2・3回生グループも履修学生を中心としたグループを導入し、可能な限りプログラム経験の有無でのグループ編成を試み、プログラム終了後の年度末に1回の討議を実施する。討議記録(テープ起こし)内容の分析を通して、新たな教育内容の設定と教育方法の開発を進める。 現在実施中のプログラムについては、効果的な教育方法のあり方を、活動記録の分析をふまえながら検討する。保護者参加型教育プログラムを履修できる2回生から4回生までの育ちの変容をふまえた教育方法の開発を継続して推進するため、研究期間を1年間延長に修正する。
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Causes of Carryover |
(理由) 実施方法の変更が必要であったため。保護者参加型教育プログラムを正課内で履修する学生を中心に構成するグループでの討議の充実度が高いため、経験学生を中心にグループを編成し直し、かつ2・3回生は討議の実施時期をプログラムの履修終了後の年度末1回に変更したことにより、実施総数が減り、謝金やテープ起こし委託費使用額も減少した。なお、テキスト分析用ソフトSPSSを購入予定であったが、1年の研究延長が必要となったこともあり、KHCoder3.(Windows 版)での分析を試行し、見通しが立ったため購入しない。 (使用計画) 今後の研究計画として、開発した保護者参加型教育プログラム履修学生でのグループ討議を導入し、プログラムを履修できる2回生から4回生までの育ちの変容をみるために、研究期間を当初の予定から1年間延長に修正する。そのため、5年目の研究実施を想定し研究費を使用する。残り2年の研究期間で、プログラムの実践活動記録の分析の継続と、それら活動記録内容およびグループ討議内容の分析に必要な経費として主に使用する。グループ討議の協力者である保護者と学生への謝金(\200,000)。テープ起こし用委託費(\200,000)。保護者参加型教育プログラム活動記録データ整理に関する謝金(\50,000)。学習支援システム用パソコン一式(\250,000)。図書・学会費等(\100,000)。
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Research Products
(2 results)