2020 Fiscal Year Research-status Report
保育者養成課程で保護者支援を実践できる力をもつ保育者を養成する教育方法の研究
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16K00770
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Research Institution | Soai University |
Principal Investigator |
中西 利恵 相愛大学, 人間発達学部, 教授 (60237328)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
曲田 映世 相愛大学, 人間発達学部, 講師 (10760944)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 保護者支援力 / 子育て支援力 / 4年生保育者養成 / 教育方法 / 保護者参加型教育プログラム / 実践経験 / 評価指標 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、保育者養成課程において、保護者に対する支援を実践できる力をもつ保育者を養成するための教育方法を開発することである。 本年度の研究計画として、一昨年度、新型コロナウイルス感染症拡大に伴い実施できなかった、開発した保護者参加型教育プログラム(以下、教育プログラムという)履修学生でのグループ討議を実施し、2~4回生までの育ちの変容から教育内容等の検討を進める予定であった。しかし、本年度も新型コロナウイルス感染症対策下のため予定通り実施はできず、感染症防止対策を行い、夏に教育プログラムの実施を試みたが、参加親子数が少なく、履修学生らが保護者と自由に交流することはほとんどできなかった。開発した教育プログラムでの活動経験をふまえた育ちの変容からの検討については、実質的な研究活動を進められなかった。 一方、保護者支援の内容(教育内容)の新たな検討方法を模索し、戦後から現在までに刊行、告示された幼稚園教育要領を分析し、養成段階における保護者支援の教育方法について探ることとした。 幼稚園教育要領は、1947(昭和22)年の保育要領の刊行を最初に6回目の改訂を経て現行(2017平成29)年告示)に至り、1964(昭和39)年以降は告示とされ基準としての性格が明確化された等の背景から、1947年と1968年の幼稚園教育要領解説書の詳細な分析を行った。結果、両解説書には、家庭との連絡を密にすることの重要性や具体的な方法、家庭の役割や責任に関し、明確に示す傾向が比較的多くみられた。保護者が直面するような問題が具体的に示され、それに対する関わり方や対応方法が詳細に解説され、わかりやすく、実践しやすいと考える。保護者に対する支援に関連する内容や方法について検討するにあたり、両解説書で示されていた記述内容のように具体的できめ細やかな内容や方法の活用についても検討していきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究実績の概要にも記載した通り、開発した教育プログラムでの活動経験をふまえた育ちの変容からの保護者支援に関する教育内容の検討は進められなかった。教育プログラムでの活動を継続する4回生で編成したグループ討議を年度末に実施する予定であったが、新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、令和元年度・2年度ともに実施できなかった。令和2年度は教育プログラムの実施そのものが難しかった。 3年間の取組から研究方法を見直し、4年目はプログラム経験回数によりグループ編成し、グループ討議を行う方法を計画した。討議テーマとして、それまでの討議内容や教育プログラムの活動記録をテキスト分析した結果等をふまえ、上の学年と一緒に活動する効果や、「担当制」「非担当制」の効果等についてより具体的に討議、検討することで、学生にもわかりやすい、実質的な教育内容の提案を計画していた。しかし、4年目以降でのデータ収集ができなくなったため、当初の計画通りの研究活動は中断している。 一方、新たな保護者支援の内容(教育内容)の検討方法として、当該年度は、戦後から現在までに刊行、告示された幼稚園教育要領の解説書の分析を導入した。保護者を対象とした支援に関する内容を検討し、養成段階における保護者支援の教育内容について探ることを試みた。特に、1947年と1968年の解説書を対象に記述内容を、テキスト分析等により詳細に分析した。結果、家庭との連絡を密にすることの重要性や具体的な方法、家庭の役割や責任に関し、明確に示す傾向が多くみられた。保護者が直面するような問題が具体的に示され、それに対する関わり方や対応方法が詳細に解説され、わかりやすく、実践しやすいと考える。保護者に対する支援に関連する内容や方法について検討するにあたり、両解説書で示されていた記述内容のように具体的できめ細やかな内容や方法の活用についても継続して検討したい。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルス感染症防止対策が続く現状(現在、緊急事態宣言下)において、計画する研究活動の推進が可能かどうかは予測ができない。よって、以下の研究方法を追加する。 保育者養成校段階における最低限必要となる知識・技能等(ミニマムスタンダード)の設定については、再度先行研究を調査する。特に、保護者支援・子育て支援の実践力の評価指標に関する研究について集約する。その中から、保護者支援・子育て支援の実践力に関するルーブリック評価項目、行動尺度、力量形成カテゴリー等に関する研究内容を抽出する。そして、我々が開発した教育方法である教育プログラムの実践映像や、グループ討議の逐語記録内容との比較検討や検証を通して、保育者養成段階における保護者支援実践力の評価の視点と評価デザインを提案する。具体的には、保護者支援に関する知識の習得に向けた意欲をより適切に評価するため、知識の習得の実態を正しく自己判断できるルーブリックあるいはチェックシート等の提案をめざす。 なお、保育者養成課程において、保護者に対する支援を実践できる力をもつ保育者を養成するための教育方法として開発した教育プログラムと、学年ごとに活動経験を踏まえた討議については、実施が可能であれば、活動記録や逐語記録内容の分析を通した教育内容の検討も継続する。
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Causes of Carryover |
(理由)研究実績の概要にも記載した通り、一昨年度同様、新型コロナウイルス感染症拡大に伴い開発した教育プログラムを履修した学生でのグループ討議が実施できなかった。当該年度は、教育プログラムの実施自体も困難であった。その結果、年度末に実施する予定であったグループ討議用の謝金と、特にテープ起こし委託費の使用額が大幅に減少した。学会等もオンラインとなり旅費も未使用となった。なお、グループ討議用の謝金並びにテープ起こし委託費については、前年度からの未使用分も含まれる。 (使用計画)現時点で緊急事態宣言下にあり、予定している教育プログラムの実施やグループ討議の実施については見通しが立たない状況であるが、可能な範囲で実施は試みたい。一方、今後の研究の推進方策に記載した通り、研究方法を追加する。再度、先行研究を調査し、保護者対応や子育て支援の実践力に関するルーブリック評価、行動尺度、力量形成カテゴリー等に関する研究内容を抽出し、教育プログラムの実践映像や逐語記録内容との検証を通して、保護者支援実践力の評価指標の構築をめざす。そのため実践映像等動画処理用のパソコン一式(\200,000)を必要とする。残りは、図書・学会費等(\250,000)。グループ討議の協力者への謝金(\70,000)。テープ起こし用委託費(\70,000)。
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Research Products
(2 results)