2017 Fiscal Year Research-status Report
循環型社会と男女共同参画社会実現に向けた職場における制服のあり方について
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16K00790
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Research Institution | Fukuoka Women's University |
Principal Investigator |
庄山 茂子 福岡女子大学, 国際文理学部, 教授 (40259700)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
栃原 裕 九州大学, 芸術工学研究院, 名誉教授 (50095907)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 循環型社会 / 制服 / 3R / 男女共同参画社会 |
Outline of Annual Research Achievements |
日本では2000年に循環型社会形成推進基本法が制定されて以降、ペットボトルや包装容器等の3R率は増加しているが、衣服の3R率は低い現状にある。製品の多様性や素材の複合度が少ない制服を職場で男女共に採用すれば、環境負荷の低減に繋がるのではないかと考えられる。一方で、日本の多くの職場では男女雇用機会均等法の改正により制服が廃止された。そこで、官公庁の行政事務に携わる職員を対象に循環型社会と男女共同参画の視点から制服に関する調査を行い、職場にふさわしい仕事着の在り方について検討した。 全国の人口の多い146位までの市役所で勤務する事務職員1460名を対象に2017年6月~7月に郵送法による質問紙調査を行った。942名から回答を得た(回収率64.5%)。 制服を着用しているのは7.7%であった。男性または女性のみが制服を着用することに、約60%が適切でないと答え、その理由として男女共同参画社会に反していることや、見られ方に差が出ると答えた。制服着用者は、私服着用者よりも「職場に一体感が出る、職場に属しているという実感が持てる、私服を考える必要がない、個人的費用が削減される」と感じていた。制服着用の賛否に制服着用者と私服着用者に有意差がみられ、制服着用者の方が制服着用を肯定的にとらえていた。男女間にも制服着用の賛否に有意差がみられ、女性の方が制服着用を肯定的にとらえていた。制服着用者と私服着用者の朝起床後から出勤するまでの時間や一か月にかかる洋服代を比較すると、制服の着用によって時間や消費の節約につながる可能性が示唆された。衣料品の3Rの実施率は、ペットボトル等に比べると低かった。 今後は、着用者自身の心理や対人行動、仕事の能率への影響などに着目して制服採用と私服採用のメリットやデメリットを明らかにしながら循環型社会形成に向けた事務職員の仕事着の検討が求められる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
28年度は、全国の企業400社を対象に、制服の採用状況を調査し、循環型社会形成と男女共同参画という視点から企業の制服の在り方を検討した。制服を採用している企業は55.3%であった。これらの企業では、制服採用について「企業のイメージアップが図れる、一体感が生まれる」の意見が多くみられた。そこで、29年度は、対象を官公庁に勤務する事務職員を対象に調査し、制服着用者の方が私服着用者より制服着用を肯定的にとらえ、女性者の方が男性より制服着用を肯定的にとらえていることを明かにした。以上のように、企業と行政に分け実態調査を実施したこと、また、29年度は、大学職員を対象に制服の着用者実験を実施しており、実態調査だけでなく、制服着用が仕事の作業能率や着用者の心理にもたらす影響についても研究に着手していることからおおむね順調に進展していると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
循環型社会形成推進基本法が制定されて以降、廃棄物の最終処分は徐々に減少している。素材の複合度の高さや製品の多用性により衣料品のリサイクル率は低いが、制服は同一素材で安定した回収が可能であることから、リサイクルしやすいといわれている。また、制服着用による様々な効果も期待される。そこで、今後の研究では、私服着用の大学の事務職員に制服を着用してもらい、制服着用が着用者の心理や仕事の効率にどのような影響を与えるかを明らかにする。
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Causes of Carryover |
28年度は企業を対象に1社1通の郵送法による調査を行ったが、29年度の行政事務に従事する約1000名を対象に実施した制服着用の実態の調査では、1行政に対し10名とし、まとめて発送することができた。また、制服着用実験を夏に実施したことで、制服にかかる費用が抑えられたため予算残が生じた。30年度は、29年度の制服着用実験の結果を踏まえてあらたな追加実験を計画している。実験にかかる制服や謝金、さらに、最終年度としてのまとめを公表するための印刷代を必要とする。
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Research Products
(3 results)