2018 Fiscal Year Research-status Report
循環型社会と男女共同参画社会実現に向けた職場における制服のあり方について
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16K00790
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Research Institution | Fukuoka Women's University |
Principal Investigator |
庄山 茂子 福岡女子大学, 国際文理学部, 教授 (40259700)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
栃原 裕 九州大学, 芸術工学研究院, 名誉教授 (50095907)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 循環型社会 / 制服 / 3R / 作業効率 / 印象評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
わが国では、2000年に循環型社会形成推進基本法が制定され3Rの考え方が導入された。衣料品のリサイクル率は他の製品に比較して低く、課題は大きい。素材が統一され、一度に回収可能で、多くの人が長く大切に着用する制服は、循環型社会形成推進に有効ではないかと考えられる。2017年に官公庁の行政事務に携わる職員942名を対象に循環型社会と男女共同参画の視点から制服に関する調査を行った結果、制服を着用しているのは7.7%で、私服着用者より制服着用者の方が、そして男性より女性の方が制服着用を肯定的にとらえ、今後は、実用的な機能とともに着用者自身の心理や対人行動、仕事の能率への影響に着目して制服と私服のメリットやデメリットを明らかにすることが課題となった。そこで、日頃私服を着用して勤務する大学の女性職員24名に制服を着用して勤務してもらい、私服着用時と制服着用時で、作業効率や仕事時の状況、職場のチームワークにどのような違いがみられるか調査した。さらに、同大学の女子学生86名を対象に私服着用時と制服着用時の事務職員の印象について調査した。その結果、(1)文字検索問題の文字の検索数では、制服着用時の方が私服着用時より有意に多かった。(2)仕事時の状況については、制服着用時の方が私服着用時より緊張感が有意に高く、私服着用時の方が制服着用時よりも有意に動きやすく違和感がないと評価された。チームワークに関して、私服着用時と制服着用時に有意な差はみられなかった。(3)学生による評価では、制服着用時は私服着用時より「信頼性・外見のよさ」の評価が有意に高かった。以上より、制服と私服のどちらがよいか断定することは難しいが、循環型社会を推進するためには、資源を大切にするという視点から長く大切に着ることやリサイクルの方策、着用者が快適に感じ、対人相手からも高く評価される仕事着について検討していく必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2016年度と2017年度に全国の企業ならびに行政事務職員を対象に行った実態調査の分析結果から、職場における仕事着の研究を進めるには、実用的な機能や着用者自身の心理や対人行動、仕事の能率への影響に着目する必要性を明らかにした。そこで、2018年度は、これらの課題を踏まえて、実際に制服を着用して勤務した場合と、私服を着用して勤務した場合における被験者実験を行い、実用的な機能や仕事の能率等について差がみられるのか分析し、制服と私服のメリットやデメリットを明らかにしたことから、おおむね順調に進展していると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
2016年度と2017年度に全国の企業ならびに行政事務職員を対象に行った実態調査では、循環型社会と男女共同参画社会という視点から調査し分析した。二つの調査から、職場における仕事着の研究を進めるには、実用的な機能や着用者自身の心理や対人行動、仕事の能率への影響に着目することの必要性を明らかにした。そこで、2018年度は主に循環型社会を推進するという視点から女性の事務服を対象にした被験者実験を行い、私服着用時と制服着用時のメリットやデメリットを明らかにした。一方で、研究のテーマである男女共同参画社会形成の視点からの研究がまだ十分になされていない。そのため2019年度は、男女共同参画社会推進という視点から、ジャケットとパンツのスーツ、ジャケットとスカートのスーツ、ワンピースなど制服のデザインに着目して機能性や印象の違い等について研究を進める。
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Causes of Carryover |
2018年度は、2016年度と2017年度に全国の企業ならびに行政事務職員を対象に行った二つの調査から課題となった実用的な機能や着用者自身の心理や対人行動、仕事の能率への影響に着目し、主に循環型社会形成を推進するという視点から被験者実験を行った。被験者は、代表者が勤務する大学職員のみに依頼し、企業等における被験者実験は行わなかったため予定額より研究費の支出が少なかった。2019年度は、前年度の研究で不十分であった男女共同参画社会という視点からジャケットとパンツのスーツ、ジャケットとスカートのスーツ、ワンピースなど制服のデザインに着目して機能性や印象の違いについて研究を進めるため2018年度とほぼ同額の研究費を必要としている。
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Research Products
(2 results)