2017 Fiscal Year Research-status Report
エジプト・コプトの染織品とインド更紗の制作年代および制作地の特定に関する研究
Project/Area Number |
16K00798
|
Research Institution | Otsuma Women's University |
Principal Investigator |
須藤 良子 大妻女子大学, 家政学部, 講師 (20573190)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩永 悦子 福岡市美術館, 学芸課, 学芸課長 (10590440)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | コプト / インド更紗 / 染織 / 放射性炭素年代測定 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度の研究実績では国外調査2箇所、国内調査1か所と国内でその成果を公開した。 国内調査では女子美術大学美術館が所蔵するコプトの染織品約150点の調査を終了した。引き続き調査を継続して行う。 国外調査では、オックスフォード大学にあるアシュモリアン博物館、ロンドンヴィクトリア&アルバート美術館のコプトの染織品を調査した。アシュモリアン博物館では約100点を調査した。これらはコプトの遺跡から発掘されたインド更紗の遺物で、放射性炭素年代測定により、14-16世紀の遺物だということが分かっている。平成30年度には、女子美染織コレクションのコプト裂に含まれるインド更紗の遺物と比較調査を実施する予定である。ヴィクトリア&アルバート美術館では9点のコプトの染織品を調査した。このうち3点がインド更紗であったが、こちらの遺物は年代測定が行われておらず、目視による調査から16-17世紀の制作ではないかと判断した。コプト裂に含まれるインド更紗の制作年代は比較的新しく、アシュモリアン博物館の分析により、14世紀以降の遺物と確認されているので、女子美染織コレクション、ヴィクトリア&アルバート美術館のコレクションをこのアシュモリアン博物館の遺物と比較しながら、今後の調査を行いたいと考えている。 調査内容の公開では、『大妻女子大学家政系研究紀要』第54号に、平成28年度の調査報告を行った。またコプト裂の研究成果の一部を姫路市立美術館で開催された「イメージを織る」展の展覧会カタログの中で、「日本で蒐集されたコプトの染織品について」と題して発表を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
国外・国内の作品調査は進んでいるが、今年度実施する予定であった放射性炭素年代測定が実現できていない。調査対象の作品選定に時間を要していることと、分析にいたる準備ができなかったためである。 研究の成果や調査報告は順調に進めている。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は研究協力者と共同で、女子美染織コレクションにおけるコプト裂に含まれるインド更紗の遺物に対して、素材の同定と放射性炭素年代測定を実施する。また調査の報告と研究成果を発表する。
|
Causes of Carryover |
放射性炭素年代測定が実施できなかったため、平成30年度で実施する。また平成30年度にも海外調査を実施し、調査研究の最終年度としての成果を公表するため、予算を使用する。
|