2016 Fiscal Year Research-status Report
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16K00799
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Research Institution | Daido University |
Principal Investigator |
渡邊 慎一 大同大学, 工学部, 教授 (00340175)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 紫外線 / 人体 / 6方向 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は、人体に照射する紫外線量が6方向(上下東西南北)の紫外線測定で推定可能か実測により検証した。人体に照射する紫外線量は、女性型マネキンに41個の紫外線センサを取り付け、測定を行った。本研究では、マネキンの姿勢は立位とした。同時に、6方向に面した各紫外線センサで測定を行った。測定は、各季節において太陽高度が高い11:00~13:00に実施した。測定地点は、天空率および地表面仕上げの異なる7地点とした。マネキン測定で得られた紫外線量は、各部位ごとに平均し、それにHardy-DuBoisの重み係数を乗じて、人体全体に照射する平均紫外線量を算出した。一方、6方向測定で得られた紫外線量は、ドイツの基準であるVDI 3787に規定される各方向に対する係数を乗じて、立位人体全身に照射する平均紫外線量を算出した。さらに、本研究では、紫外線防御手法の一つである日傘に着目し、日傘がない状態と日傘を差した状態で紫外線量を測定し、両者を比較検討した。 実測の結果、マネキン測定から得られた全身に照射する紫外線量yと6方向測定から得られた平均紫外線量xはよく対応することを示し、回帰式y = 0.9005x + 0.0066 を得た。この式を用いることにより、マネキンを用いた測定を行わなくても、6方向の紫外線量を測定することにより、高い精度で立位人体全身に照射する紫外線量を推定することが可能となった。特に夏季において、両者の関係はほぼ一対一で対応することが示された。 実測に基づいて、全身および各部位における日傘の紫外線低減率を示した。日傘を差すことで、全身に照射する紫外線量は31.9%低減することを示した。また、部位毎の紫外線低減率は、頭部が最も大きく64.9%であった。次いで、胴部が50.8%、腕部が9.3%、大腿部が9.8%、下腿部が12.3%、足背部が15.3%であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実施計画の通り、各季節に天空率および地表面仕上げの異なる7地点において、マネキン測定と6方向測定を実施した。両者の関係を考察し、6方向の紫外線量を測定することによって、立位人体全身に照射する平均紫外線量を高い精度で推定できることを示した。また、紫外線防御手法の一つである日傘を用いた実測から、全身および各部位における日傘の紫外線低減率を示した。このように、現在まで研究は順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究により、6方向の紫外線測定により立位人体全身に照射する紫外線量を高い精度で推定できることを明らかにした。次の段階として、当初の計画通り、6方向紫外線測定器を2台作成する。1台を天空に開放された日除けのない地点に設置し、もう1台を紫外線遮蔽物(建物陰・樹陰・オーニング等)の下に設置し、同時に測定を行う。これらの測定データから、従来の水平面紫外線量に基づいた紫外線防御指数(Protection Factor: PF)を算出する。さらに、6方向の紫外線量に基づいたPFを新たに算出し、両者を比較検討する。特に、垂直面に照射する紫外線量を評価に加味することにより、より正確な評価を試みる。さらに、晴天日だけでなく、曇天日にも測定を実施し、天気による紫外線遮蔽物の紫外線低減率を明らかにする。
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