2018 Fiscal Year Annual Research Report
Antibiotic silk fibrion fiber by using peptides
Project/Area Number |
16K00806
|
Research Institution | Okinawa Institute of Science and Technology Graduate University |
Principal Investigator |
野村 陽子 沖縄科学技術大学院大学, サイエンステクノロジーグループ, サイエンス・テクノロシ゛ー・アソシエイト (90302794)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | フィブロイン繊維 / ペプチド / 抗菌化 / シルク |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の最終年度である今年度は、シルク(フィブロイン)結合抗菌性ペプチドの、沖縄など亜熱帯環境下における使用を視野に入れて実験を進めた。フィブロインに従来よりも強く結合するペプチドを得るために、NGSによって得られたデータを引き続き解析し、今年度は最も濃縮されたペプチドモチーフを持つ11の新しいフィブロイン結合ペプチドに抗菌活性を持つ配列RRRWWW-NH2を連結した。その結果、これらの配列のいくつかは、グラム陰性菌(大腸菌)とグラム陽性菌(スタフィロコッカス・エピデルミディス)の両者に抗菌活性があることがわかった。 次に、これらのうち抗菌活性の高かったペプチドによりフィブロイン繊維を1ステップで抗菌化したところ、予備実験では抗菌活性のある繊維が得られた。しかし、特に接着性の高いスタフィロコッカスでは、繊維からの細菌抽出を含む抗菌性試験の再現性に問題があった。このため、亜熱帯環境下の夏の条件である温度30℃、湿度80-90%の条件でフィブロイン繊維に残存するコロニーを直接観察することを考えた。ところが、今年度購入した恒温恒湿インキュベーターの故障から、一部の実験が充分に進まなかった。現在もこのインキュベーターは修理中であるが、これが直り次第実験を再開する予定である。 また、高温高湿下では、ヒトの皮膚に常在するスタフィロコッカス類による汗臭が問題になるため、本研究で得られた抗菌繊維の汗臭抑制への応用を目指した。まずはスタフィロコッカス・エピデルミディスをスモールスケールで培養したところ、LBなど液体培地でしんとう培養した後、常温で数日間の放置の場合に汗臭(酢酸臭)が確認された。この汗臭は検知管で検知できるほどは強くなかったが、培養量を増やせば検知できると考えられる。上記のインキュベーターの正常稼働が確認されたら、抗菌化された繊維を用いて汗臭抑制の実験も進める予定である。
|