2016 Fiscal Year Research-status Report
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16K00825
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Research Institution | Jissen Women's University |
Principal Investigator |
奈良 一寛 実践女子大学, 生活科学部, 准教授 (60540903)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀江 祐範 国立研究開発法人産業技術総合研究所, その他部局等, 研究員 (30514591)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | アピオス / イソフラボン / アグリコン / 2'-ヒドロキシゲニステイン / パン |
Outline of Annual Research Achievements |
通常の食生活では、大豆およびその加工品以外でイソフラボン類を摂取することは困難であるとされるが、マメ科植物であるアピオス(Apios americana Medik)にイソフラボンが含まれることが明らかとなった。さらに部位によるイソフラボン組成の差異について比較検討したところ、通常、食用となる塊茎部と塊茎部の間に位置する茎部に大豆にも見られない2'-ヒドロキシゲニステインが多いことが明らかとなった。また、2'-ヒドロキシゲニステインはゲニステインに比べ、抗酸化活性が高いことも示された。加工販売される場合、茎部は除去されているが、その過程が大変な時間と労力を要していることからも、茎部の有効利用はアピオスの栽培、加工、販売を考えたとき有益な情報になりうると思われた。 アピオスの利用法についても検討した。パンへの利用では、アピオスに含まれるイソフラボンは発酵工程で配糖体からアグリコンへ変換することが明らかとなった。また、ストレート法と中種法とで、異なる製パン法によるアグリコンへの変換の程度を比較したところ、中種法で顕著にアグリコンが増加することが明らかとなった。茎部を利用した場合にも同様の変化が認められたことから、パンへのアピオスの利用は2'-ヒドロキシゲニステインの摂取には効果的であると思われた。以上のことより、アピオスをパンの材料として配合することで、アピオスのイソフラボン配糖体からアグリコンへの変換がみられたことから、アグリコンとして摂取を期待したときには,有効な利用法のひとつであることが示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度までの結果から、茎部におけるイソフラボンについて引き続き検討していくことが必要であると考えられた。加工利用法についても、塊茎部を用いた検討では、有益な情報も得られていることから、茎部においても応用できるものと思われることから、おおむね順調であると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度までの結果をさらに発展させ、アピオスに含まれるイソフラボン類の詳細について明らかにしていくとともに、より効果的な摂取方法についても検討し、イソフラボンの新たな摂取源として可能性について検索していきたい。また、生理機能の解析も必要であると思われることから、生体内挙動評価モデルの構築およびそれを用いた評価も併せて進めていきたい。
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Causes of Carryover |
今年度計画していた成分分析は順調に進めることができた。一方で、新たに機能性の検討を必要とする成分も明らかになってきた。共同研究者と協議し、新たな成分について十分に明らかにしたうえで、機能性の解析を行うことが必要であると判断したことから、機能性解析のために使用予定であった予算において未使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
このため未使用額は、次年度の機能性解析のための経費として充てることとしたい。
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