2018 Fiscal Year Research-status Report
トマト・アレルギー:抗原感作から発症、治癒に至るメカニズムの解明
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16K00831
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Research Institution | Kanagawa Children's Medical Center (Clinical Research Institute) |
Principal Investigator |
犬尾 千聡 地方独立行政法人神奈川県立病院機構神奈川県立こども医療センター(臨床研究所), 臨床研究所, 部長 (30586780)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 食物アレルギー / トマトアレルギー |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度はスギ花粉と交差抗原性を有するヒノキ花粉に対する皮下注射免疫療法の治療効果について検討した。 <スギアレルゲン免疫療法のヒノキ花粉に対する免疫学的効果の検討> 【目的】トマトアレルゲンはスギ花粉と交差抗原性を有する。同様にヒノキ花粉もスギ花粉と交差抗原性を有している。本検討ではヒノキ花粉症に対するスギ花粉皮下注射免疫療法の長期的な治療効果を検討した。【方法】5年間スギ花粉皮下注射免疫療法を行ったスギ花粉症患者で治療前のヒノキ抗原に対する感作があった(ヒノキ抗原特異的IgE>0.34 UA/mL)18名患者(年齢:5-44歳)の治療前後での花粉抗原に対する末梢血好塩基球活性化、抗原特異的IgE、抗原特異的IgG4を評価した。【結果】ヒノキ花粉、スギ花粉刺激による末梢血好塩基球活性化は有意に低下した(P=0.045、P<0.001)。ヒノキ花粉、スギ花粉特異的Ig4は有意に増加した(P = 0.0002、P<0.01)。スギ花粉特異的IgEは有意に低下した((P<0.001)。一方、ヒノキ花粉特異的IgEは11名(61%)で低下したが、有意差はみられなかった (P=0.95)。【結論】本研究は長期的にスギ皮下注射免疫療法によりヒノキ花粉に対する免疫学的反応を低下させる可能性を示唆している。長期的にもスギ花粉と交差抗原性を有するアレルゲンに対して、スギ花粉皮下注射免疫療法は有効であることを示唆した。今後はトマトアレルゲンに対する長期的な反応を検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究代表者が補助事業期間中に所属機関を2回移動しており、研究環境の整備に時間を要したため、当初の予定より遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
スギ花粉皮下注射免疫療法を受けた患者血清を用いた研究について、ダニアレルゲンによる活性化を抑制できる可能性が示唆される結果が得られている。アレルゲン免疫療法のアレルギー寛解についての効果を示唆している。
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Causes of Carryover |
研究が予定通りに遂行できていないため、次年度に使用額が生じることとなった。
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