2017 Fiscal Year Research-status Report
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16K00832
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Research Institution | Doshisha Women's College of Liberal Arts |
Principal Investigator |
真部 真里子 同志社女子大学, 生活科学部, 教授 (50329968)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
的場 輝佳 関西福祉科学大学, 健康福祉学部, 客員教授 (10027196)
久保 加織 滋賀大学, 教育学部, 教授 (10190836)
坂本 宏司 広島国際大学, 医療栄養学部, 教授 (80613017)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 嚥下調整食 / におい / 凍結含浸法 |
Outline of Annual Research Achievements |
2017年度は、まず、2018年度に実施する官能評価に向けて、「人参含め煮」の凍結含浸法による嚥下食の塩分濃度とうま味強度について、普通食との差異が、それぞれ、NaCl、グルタミン酸ナトリウムの弁別閾以内になるように調製できているかを確認するために、まず、弁別閾の小さい(6%)NaClに着目し、嚥下食と普通食の塩分濃度の測定を行った。その結果、昨年の調製法では、普通食が1.15%、凍結含浸法による嚥下食が1.03%となった。普通食の塩分濃度を基準に算出すると1.081%未満の塩分濃度では、普通食よりも塩味が薄いとを認識されることになるが、凍結含浸法による嚥下食の塩分濃度はこの数値に該当するため、調理時の食塩もしくは醤油濃度を変更する必要が生じた。そこで、普通食調製時に使用する煮汁の食塩濃度を下げ、凍結含浸法による嚥下食調製時に使用する酵素液に添加していた醤油と食塩量を調整した。その結果、各試料の塩分濃度の差異を弁別閾以内に収めることができた。 また、この方法で調製した各試料について、HS-SPME法にて香気成分を抽出し、GC-O分析を実施した。2016年度は、2種のSPMEファイバーで異なる結果となったが、今年度の分析結果では、液相に85ミクロンのCarboxen/PDMSを用いたファイバーで、2種のファイバーを併用して捕捉していた香気成分を共に補足できることが確認できた。また、昨年度、凍結含浸法による嚥下食では、普通食由来のにおいを普通食以上に強く感じることができることが示唆されたので、におい強度の数値化を図った。その結果、新しい方法で調製した各試料についても、凍結含浸法による嚥下食では、普通食由来の香気成分が、普通食以上に強く認識されることが確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2017年度は、本来ならば、「人参含め煮」のみならず、「照焼鮭」に関しても香気成分分析を実施する予定であった。しかし、昨年度からの懸案事項として、最終年度の官能評価に向けて、凍結含浸法によって調製した嚥下食の塩分濃度ならびにうま味強度を普通食の各濃度と弁別閾以内になるように調理法を調整することが再優先課題であったことから、今年度検討を開始したが、想定以上に難しく、「照焼鮭」にまで着手できなかった。しかし、「人参含め煮」に関しては、概ね、官能評価に使用可能な試料調製法のめどが立ったことから、「やや遅れている」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
「人参含め煮」について、2017年度に概ね決定した調製法を用いて凍結含浸法による嚥下食を調整し、予定どおり、普通食に相当する塩分濃度とうま味強度となっているか、最終確認を実施する。 塩分濃度とうま味強度に、弁別閾以上のズレが生じた場合は、官能評価結果を考察するにあたって重要な問題となるため、調製法を再調整する。この場合は、新たな方法で調製した凍結含浸法による嚥下食の香気特性について、昨年度の香気成分分析結果と祖語が生じていないか、確認実験を実施する。 試料調製の確認ができたら、官能評価を実施する。すなわち以下の①~③を順次実施する:①官能評価参加承諾者に適性検査を実施し、一定の能力を有する被験者を選抜する。②被験者5~7名によって、KJ法による評価項目を決定する。③普通食と凍結含浸法による嚥下食について、嗜好性と風味特性に関して、7点評点法による官能評価を実施する。 以上の結果から、におい強度が大きい傾向にある凍結含浸法による嚥下食が、嗜好性の点でも優位性を示すかどうかを考察する。
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Causes of Carryover |
共同研究者の的場輝佳先生には、試料調製に関する情報収集とその指導を担当していただいているが、メール等の通信手段のみで、直接対面での打ち合わせ、指導が不要となる状況が多かったため、指導時の試作費が不要となり、交通費も設定より低額となった。
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Research Products
(1 results)