2018 Fiscal Year Research-status Report
いんげん豆類に含まれる高機能性オリゴ糖の探索とその構造解析
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16K00834
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Research Institution | Kobe Women's University |
Principal Investigator |
木村 万里子 神戸女子大学, 家政学部, 准教授 (00351932)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山下 弘高 岐阜薬科大学, 薬学部, 講師 (40453055)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | オリゴ糖 / いんげん / 豆類 / 抗アレルギー / 免疫調節 / N-グリカン |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度は,①白いんげん豆(手亡)に含まれる遊離型オリゴ糖の精製および化学構造解析,③いんげん豆由来オリゴ糖(ラフィノースとスタキオース)の免疫調節活性(in vivoアッセイ系)測定を行った。どちらも大変興味深い研究結果が得られたので,その概要を以下に示す。 すでに報告している手法を改良し,手亡のアセトン脱脂粉末から再現性良く植物複合型糖鎖 Man3Xyl1Fuc1GlcNAc2(M3FX)を精製する方法を確立した。その結果,手亡粉末100gから約50mgの遊離型M3FXを得ることができた。私たちは,遊離型M3FXがでスギ花粉アレルギー患者のT細胞からのIL-4の産生を抑制することを報告している(2014年)。本研究で,初めて遊離型M3FXが,手亡の重量の約50mg%と多量に含まれていることを見出し,その調製方法を確立した。このことは,手亡が免疫活性を有すると考えられるN-グリカンの良い供給源であり,その有効利用が可能であることを示唆するものである。 6週齢の雄性BALB/cマウスにOVAを経口投与して食物アレルギーマウスを作製した。いんげん豆に含まれる主要オリゴ糖のラフィノースとスタキオースを自由飲水にて経口投与した群では,どちらもアナフィラキシーの抑制および抑制傾向が認められた。特に,スタキオースはアレルギー性下痢を有意に抑制した。OVA特異的IgE産生に関しては,どちらの投与群においても有意差は得られなかったものの,明確に生成が抑制される傾向が認められた。また,マスト細胞の脱顆粒の指標である血中のプロテアーゼ量も顕著に抑制された。さらに,制御性T細胞の増加も確認された。以上のことから,豆に含まれる主要オリゴ糖が抗アレルギー作用を示すことが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本課題は,①数種のいんげん豆に含まれる遊離型オリゴ糖の精製および化学構造解析,②いんげん豆由来オリゴ糖のビフィズス菌・乳酸菌増殖促進活性の測定(in vitroアッセイ系),③いんげん豆由来オリゴ糖の免疫調節活性(in vivoアッセイ系)の3つのテーマから構成されている。 平成30年度は,①と③に関する実験を行い,いずれの実験においても興味深い知見を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度までに,いんげん豆に含まれる高機能性糖鎖の種類と構造,さらには機能性について多くの知見を得ることができた。最終年度は,豆オリゴ糖の機能性について再現性の確認を行うとともに,これまでの実験の総まとめを行う予定である。
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Causes of Carryover |
本年度は最終年度であるため,これまでの研究の総まとめを行うとともに,本課題の核心となる重要なポイントについて再現性を確認したいと考えている。昨年度の未使用額は51,050円と少ない額であるが,これは豆オリゴ糖の機能性解析用の試薬購入費に充てる予定である。
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Research Products
(6 results)
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[Journal Article] Food allergy is linked to season of birth, sun exposure, and vitamin D deficiency.2019
Author(s)
Matsui T, Tanaka K, Yamashita H, Saneyasu K, Tanaka H, Takasato Y, Sugiura S, Inagaki N, and, Ito K.
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Journal Title
Allergology International
Volume: 68(2)
Pages: 172-177
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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