2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K00841
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
河合 崇行 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 食品研究部門 食品健康機能研究領域, 上級研究員 (50425550)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 塩味増強 / 香り / 経験 |
Outline of Annual Research Achievements |
醤油中に含まれる香気成分が塩味増強を引き起こすことが知られている。その理由のひとつに、醤油の塩分と醤油の香りの連合学習が考えられる。我々はc57BL/6マウスを用い、バニラ香やオレンジ香を塩味と対呈示経験をさせることにより、これらの香気成分添加により塩味増強効果が見られることを報告してきた。そこで、ヒトが通常塩味をイメージできる醤油・味噌・ベーコンの香気と、塩味をイメージし難いバニラの香気を用いて塩味増強効果の大きさを比較した。マウスを4群に分け、醤油・味噌・ベーコン・バニラ香のついた塩水を提示して8週間以上飼育した。3週間以上利尿剤入りの餌を与えることで塩味欲求性を亢進させた状態のマウスを用いて塩味評定を行った。種々の濃度の塩味溶液をマウスに提示し、10秒間に試料溶液を舐める(リックする)回数を測定し、試料溶液の嗜好度に換算した。その結果、味噌の香りにやや大きい塩味増強効果が見られたものの、どの香りでも同様に効果が見られた。ヒトがイメージできる塩味食品に特徴的に含まれる香気成分が塩味増強に寄与している割合は小さく、経験による部分が大きいと考察された。 過去の食経験・記憶が遠因することから、世界に共通する塩味増強香りを探し出すことの難しさにつながっている。塩味の強い発酵食品など、特定地域に特化した食品から得た香り成分の方が効果が高いことが予想される。また、仔マウス時期の味・香り経験が成熟後の試験まで影響することから、ヒトが子どもの頃よく食した塩味食品・塩味菓子類の中から塩味増強効果を示す香りが見つかる可能性がある。ただし、時代による変化もあるので、一定の幅をもった年齢層のヒトにのみ高い効果が得られる可能性もある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
種々の香りを使って、塩味増強効果を評価することができた。塩味に影響を与えやすい香り成分の特徴を調べる準備ができた。
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Strategy for Future Research Activity |
ガスクロマトグラフィー分析結果と比較して、疏水度や揮発度の違いによる効果の現れやすさを検討する。
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Causes of Carryover |
(理由) 論文の英文校閲、投稿料として予定していた約3万円分が29年度中に投稿できなかったことにより、次年度へ繰り越すことになった。 (使用計画) 29年度中に得られた結果を30年度中に論文投稿する予定である。その際の論文の英文校閲、投稿料として、差額を使用する計画である。
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