2017 Fiscal Year Research-status Report
ヒト糞便由来腸内細菌群のエネルギー要求度による宿主健康度の推定
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16K00845
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
長友 克広 弘前大学, 医学研究科, 助教 (30542568)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 腸電図解析 / 便性状解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、ヒト腸内細菌の活動を生きたまま評価することにより宿主健康度の推定を行うものである。現在検討している項目は、(1)腸内細菌のエネルギー要求量、 (2)糞便性状、 (3)宿主消化管運動の電気生理的解析である。(1)の実験プロトコルに関することで、H28年度に実施予定だった糞便から集菌し実験に供するまでの時間検討(集菌直後から最大6時間)をPCR法で検討した。Bacterial 16S rDNAをすべて検出する仕様だったため、腸内細菌の生死によるPCR産物の濃度変動をうまく捉えることができず、当初計画していたように細菌叢解析を行った。解析結果から、現在実施している実験プロトコルの集菌後30分以内であれば、集菌操作によらず、採便直後の菌叢と比較して大幅な変動がないことを確認した。また、腸内細菌のエネルギー要求量の評価方法に関して、より簡便な方法を模索している中で、使用している緩衝液組成により、蛍光試薬の取り込み率に違いが生じている可能性を見出した。現在、Taoら(Biochemistry, 55, 2578-2589, 2016)の報告を参考に検討を進めている。さらに、申請時当初計画していなかったが、消化管機能の破綻と腸内細菌のエネルギー要求量を比較するために胃がんモデルマウスを利用開始した。本マウスは遺伝子改変マウスであり、3種類の遺伝子を欠損すると生後50週で80%程度の胃がん発症率を有する。食餌や飼育環境が野生型マウスと常に同じであるため、両マウスの腸内細菌を用いることで、健常時と健康状態が破綻した時の腸内細菌のエネルギー要求量の比較を簡便に行えるものと考え、実施している。胃がんマウス作製に時間を要するため、現在までに例数は少ないが野生型と比較検討を行っている。本研究を円滑に推進するため、経費にマウス飼養料を計上している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H29年度、申請時当初計画していなかったが、消化管機能が健常状態から「著しく逸脱した状況」における腸内細菌のエネルギー要求量の変動を検討するために、胃がんマウスモデルを導入した。計画に支障はなく、順調に遂行できており、一定の成果も出ているため、「おおむね順調」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
胃がんモデルマウスと野生型マウスの実験結果をフィードバックし、ヒト糞便由来腸内細菌におけるエネルギー要求量と他の解析結果から宿主健康状態の相関を検討する。また同時に、便性状解析および消化管運動の電気生理的解析を進め、パターン抽出を試みる。実験に使用している緩衝液組成の違いにより、現在、「成分X」に依存的なエネルギー取り込みを捉えている可能性があり、腸内細菌の活動状況に影響を与えているのではないかと考えられ、「成分X」を糞便から検出できれば、より迅速な宿主健康評価も可能ではないかと期待される。さらに、簡便な試験方法として、可動性の高いオールインワン顕微鏡BZ-X700(キーエンス)の利用検討を始める。執筆の遅れている論文投稿も進める。
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Causes of Carryover |
年度末にかけて、ディスポ器具類などの突発的な出費に備えて、支出を控えたため残額が生じた。残額については、次年度の実験消耗品購入へ使用する予定である。
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