2017 Fiscal Year Research-status Report
食事中タンパク質のNAFLD予防・治療作用とそのメカニズムの解明
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16K00849
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
渡邉 一史 金沢大学, 新学術創成研究機構, 研究協力員 (50721495)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 食品 / 肝臓 |
Outline of Annual Research Achievements |
肝臓脂肪蓄積を特徴とする非アルコール脂肪性肝疾患(NAFLD)が増加している。NAFLDは、非アルコール性の肝臓脂肪蓄積を特徴とする疾患である。NAFLDの予防・治療に食事療法が不可欠だが、タンパク質摂取が食事療法において果たす役割は解明されていない。大豆タンパク質など特定のタンパク質摂取が肝臓脂肪蓄積を減少させることが報告され、摂取するタンパク質の種類によってNAFLD食事療法の予防・改善効果が異なる可能性が示唆される。しかしながら、詳細なメカニズムは不明であり、NAFLD食事療法として活用されていない。本研究課題では、食事中タンパク質のNAFLD予防・治療への有用性およびそのメカニズムの解明を目的とする。 本年度は、前年度に脂肪肝抑制効果を発揮するタンパク質として特定した緑豆タンパク質のNAFLDへの作用を検討した。具体的には、NAFLDを誘導する高脂肪高コレステロール食中のタンパク質を緑豆タンパク質に置換した飼料を作製し、マウスへ20週間給餌することにより、NAFLDの進展を評価した。コントロール群では、NAFLDの病態として見られる肝臓の線維化が著しく認められたのに対し、緑豆タンパク質群では線維化の程度は軽減していた。また、緑豆タンパク質群ではコントロール群と比し、肝臓脂肪蓄積量、血中AST濃度および血中ALT濃度が低下していた。さらに、肝臓の線維化マーカーおよび炎症マーカーのmRNA発現も緑豆タンパク質群で低下していた。これらのことから、NAFLDの予防において緑豆タンパク質は有用である可能性が示された。今後、緑豆タンパク質の脂肪合成抑制を介したNAFLD予防効果のメカニズムの検討を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までに緑豆タンパク質が肝臓脂肪蓄積を抑制し、さらにNAFLDを予防する効果を有することを見出すことができた。このことは、本研究課題を大きく進展させたと考えられる。さらに緑豆タンパク質の作用メカニズムを解析することで本研究課題は大きく進展すると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、緑豆タンパク質の作用メカニズムを解析することを予定している。食事性のタンパク質は、摂取後アミノ酸やジペプチドあるいはトリペプチドの形に分解され体内に吸収される。このことから、緑豆タンパク質の肝臓脂肪合成作用には、これらのアミノ酸もしくはペプチドが作用していると考えられる。そこで、緑豆タンパク質の分解によって生成されるアミノ酸やペプチドを合成し、これらが肝臓の脂肪合成に与える影響を検討する。具体的には、本研究室で作製した肝臓脂肪合成モニターマウスから初代培養肝細胞を単離し、アミノ酸やペプチドを添加することで脂肪合成へ与える影響を評価し、緑豆タンパク質の作用メカニズムを解析する。
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