2018 Fiscal Year Research-status Report
食餌中の脂質が慢性腎臓病における異所性脂肪蓄積に及ぼす影響
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16K00856
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
吉田 卓矢 静岡県立大学, 食品栄養科学部, 助教 (80622448)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
熊谷 裕通 静岡県立大学, 食品栄養科学部, 教授 (40183313)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | エイコサペンタエン酸 / 糖尿病性腎症 / 高脂肪食 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、食餌中の脂質が慢性腎臓病における異所性脂肪の蓄積に与える影響を基礎的に解明することを目的としている。昨年度は、過食により糖尿病を発症し、腎症を合併する糖尿病性腎症モデルラットを用いて、エイコサペンタエン酸(EPA)の摂取が腎臓の脂肪蓄積および腎機能に与える影響を検討した。これまでに本研究において飽和脂肪酸を多く含む高脂肪食を糖尿病性腎症モデルラットに与えると腎臓の脂肪が蓄積し、腎機能が低下することが確認されている。さらに高脂肪食にEPAを加えて与えると、血中の中性脂肪濃度を低下させ、さらには腎臓中の脂肪蓄積を減少させることを確認した。しかしながら、当該年度にEPAの腎機能に与える影響を検討したが、高脂肪食にEPAを加えて摂取させても糖尿病性腎症モデルラットの腎機能低下を抑制することはできなかった。これらの結果から食餌中の脂肪の量が腎機能の低下に関与していることが考えられた。また、腎組織中の酸化ストレスマーカーを測定したが、EPAにより腎臓中の脂肪蓄積が、低下していたにもかかわらず、高脂肪食を与えた糖尿病性腎症モデルラットでは、酸化ストレスマーカーがEPA摂取により低下しなかった。このことから、EPAは高脂肪食摂取による腎組織中の酸化ストレスを低下させることができないため、腎機能の低下が抑制できなかったと考えられる。また、本研究の結果からは脂肪蓄積だけでは腎機能の低下に直接関係しているわけではないことが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
おおむね予定していた研究は終えることができたが、エイコサペンタエン酸により腎臓の脂肪蓄積が抑制できたにもかかわらず、腎機能の低下を抑制できなかったという当初想定していた結果と異なる結果を得た。そのため、追加試験が必要であるため、やや遅れているとした。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では予想外の結果を得たため、今後、腎臓中の脂肪酸の組成の検討およびその機序として脂肪酸代謝についてさらに詳細に検討をする。また、本年度中に論文として海外の学術誌にて結果を報告する予定である。
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Causes of Carryover |
当初予定していた研究結果とは異なる結果を得たため、その詳細な機序を検討する必要が発生したため、次年度に助成金を持ち越した。また、結果を論文にして発表するため、追加の実験と論文投稿のために助成金を使用する。
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