2018 Fiscal Year Research-status Report
生体リン・ビタミンDセンシング機構の解明と新規CKD-MBD診断・予防法の開発
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16K00875
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Research Institution | Jin-ai University |
Principal Investigator |
山本 浩範 仁愛大学, 人間生活学部, 教授 (60314861)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ビタミンD / 代謝酵素 / 遺伝子発現 / 転写因子 |
Outline of Annual Research Achievements |
リンおよびビタミンDの生体作用を理解することは、健康の維持だけでなく慢性腎臓病合併症の診断や治療、進展予防を考える上で重要であることから、これまで申請者は、リンの標的遺伝子の同定およびセンシング機構の解明を行い、ビタミンD受容体やリン輸送担体、ビタミンD合成酵素CYP27b1の発現調節機構を明らかにした。甲状腺ホルモンはリンおよびビタミンD代謝を調節することから、本年度は、甲状腺ホルモンによるビタミンD異化酵素であるCYP24A1遺伝子の発現調節機構を解析した。CYP24A1遺伝子の転写調節領域にステロール応答領域結合タンパク(SREBP)が結合するステロール応答エレメント(SRE)を見出した。腎近位尿細管細胞株におけるCYP24A1遺伝子のプロモーター解析の結果、SREBP1アイソフォーム(1cおよび1c)はともにマウスおよびヒトCYP24A1プロモーター活性を強力に誘導した。また、1,25(OH)2D3を添加することにより、SREBP1cによる転写活性の誘導は相加的に増加した。見出したSRE応答配列においてSREBP1が特異的に結合することをゲルシフト法により確認した。siRNAによりSREBP1cおよびSREBP1aの発現をノックダウンした腎近位尿細管細胞では、CYP24A1のmRNA発現は有意に低下した。さらに、甲状腺ホルモンを投与したマウスにおいては用量依存的に腎臓のSREBP1cおよびCYP24A1の発現が抑制されることが明らかとなった。以上のことから、甲状腺ホルモンによるビタミンD代謝の制御には、腎臓における直接的なCYP27B1遺伝子発現制御と、SREBP1の発現調節を介したCYP24A1遺伝子の間接的な制御が関与しており、両酵素の発現調節によって血中1,25(OH)2D濃度が規定されることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策として、リンおよびビタミンD感受性遺伝子の同定と発現調節機構の解析を行う予定であり、リンによるステロール応答領域結合タンパク(SREBP)の発現調節や時計遺伝子による腸管リン輸送担体Npt2b、ビタミンD代謝酵素(CYP27b1、CYP24a1)の発現に及ぼすClock, BMAL1, DBP, RORなどの時計遺伝子の影響をルシフェラーゼ法、ゲルシフト法、ChiP法を用いて明らかにすることを予定している。
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Causes of Carryover |
当社予定していた、動物試験について本年度は共同研究先とのスケジュール調整が進まず今年度は必要でなくなったため。 (使用計画) 次年度使用額については高額なものではないため、次年度の計画に従って研究を遂行する。
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