2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K00876
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Research Institution | Kinjo Gakuin University |
Principal Investigator |
宮澤 大介 金城学院大学, 薬学部, 准教授 (70434553)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大西 浩之 北里大学, 医療衛生学部, 講師 (90523316)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 多価不飽和脂肪酸 / 細胞死 / アミロイドβ |
Outline of Annual Research Achievements |
高齢化社会を迎える日本において認知症は重要な問題であり、健康寿命を延ばすことは大きな課題である。ヒトの栄養について脂肪酸の観点から考察し、認知症発症を食生活から低減することに寄与することを目的とした。 神経系株化細胞(NG108-15)を用いてアミロイドβの毒性と細胞生存を検討した。アミロイドβはAβ25-35とAβ1-42を用いた。それぞれ5, 10, 20, 40 μMで培地に添加し、48時間後の細胞の生存をMTTアッセイにより評価した。Aβ25-35とAβ1-42共に5 μMから細胞の生存率が下がり始めた。濃度依存的ではあったが、20 μMと40 μMでは差がなかった。Aβ25-35はアミノ酸25-35番目の断片であるが、Aβ1-42とほぼ同等の毒性を示した。 脂肪酸添加の実験は、まず無血清や低血清の条件下で行った。アラキドン酸やドコサヘキサエン酸(DHA)で細胞死に対する抑制効果を示した。リノール酸やα-リノレン酸ではその効果は低く脳内の脂肪酸組成と同様炭素数18の脂肪酸ではなく、アラキドン酸やDHAが重要であることが示唆された。ただ細胞の分化、未分化によって反応性が異なった。 脂肪酸添加による細胞内情報伝達への影響を検討するために各種mitogen-activated protein kinase(MAPK)のリン酸化について検討した。p38 MAPK(分化やアポトーシスに関与する)、p44/42 MAPK(細胞増殖等に関与する)、stress-activated protein kinase/Jun-amino-terminal kinase(SAPK/JNK)(分化、アポトーシス、神経系においてはエキソサイトーシスへの関与が報告されている)のリン酸化は顕著な差は見られなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
アミロイドβ添加時の各脂肪酸の適切な濃度を見いだすのに時間を要している。細胞の分化、未分化の状態で脂肪酸の適切な濃度の検討に時間を要した。
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Strategy for Future Research Activity |
NG108-15は分化によって神経様形態を示す細胞である。今後は分化未分化の条件の違いにより脂肪酸の影響を検討したい。 また、他の細胞種や神経系以外でも細胞生存に影響を及ぼすのか検討をする予定である。また細胞内のリン酸化シグナル伝達系に及ぼす影響についても検討する予定である。
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Causes of Carryover |
アミロイドβ添加時の各脂肪酸の適切な濃度を見いだせていない。これの条件検討に時間を要した。 また、分化、未分化の条件の違いによる脂肪酸のMAPKへ影響について更なる検討を要している。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
細胞の分化、未分化の状態に応じた適切な脂肪酸濃度を検討する。細胞死の指標としてカスパーゼの活性化を検討する。
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Research Products
(3 results)