2016 Fiscal Year Research-status Report
老化関連分泌表現型(SASP)メカニズム解明とSASP抑制性食品由来分子の同定
Project/Area Number |
16K00878
|
Research Institution | Sugiyama Jogakuen University |
Principal Investigator |
本山 昇 椙山女学園大学, 生活科学部, 教授 (50277282)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 老化 / 細胞老化 / 老年病 / 健康寿命 / 食品 |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞老化(Cellular Senescence)、とりわけ炎症性サイトカインなどの液性因子を分泌する細胞老化付随分泌現象(Senescence-associated secretory phenotype:SASP)は、がん化、動脈硬化症など種々の老年性疾患や個体老化との関連が示唆されている。老化細胞より分泌されたSASP因子は、がん細胞の増殖を促進しがん進展、炎症性サイトカインなどを介して慢性炎症応答を惹起し、高齢者特有の瀰漫性慢性炎症の原因となる可能性および組織幹細胞の機能不全を誘導し組織恒常性が低下する原因となると考えられる。このような観点からSASPの制御はがんをはじめとする老年性疾患の予防・治療のターゲットとなる。しかしながらSASPは生理的機能および損傷治癒などにおいても重要な機能を果たしていることから、SASP制御のバランスが重要である。これまでRapamycinがSASPを著しく抑制することが報告されているが、Rapamycinは強力な免疫抑制剤であるので人への適応は困難である。一方食品は種々の生理活性因子を含んでいるとともに、過度な抑制・活性化作用を呈しない点において、SASP制御を介入する上で有用であると考えられる。そこで本研究では、SASP獲得の分子メカニズムを明らかするとともに、SASP因子発現を抑制する食品由来生理活性分子の探索を行うことを目的として進めている。 今年度は、ヒトテロメラーゼの触媒サブユニットhTERTを導入することによって不死化したヒト線維芽細胞を用い、DNA損傷・酸化ストレス・クロマチンリモデリングを誘導する因子による細胞老化誘導条件を検討し、細胞老化およびSASP発現を検討する条件を確立した。また、この条件下で、豆味噌成分などの食品由来因子および天然物の細胞老化誘導およびSASP発現における影響を検討中である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
細胞老化誘導およびSASP発現を検討する条件が整い、食品由来因子や天然物因子の細胞老化およびSASP発現における影響を検討中である。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、既に樹立した条件下で、食品由来因子や天然物因子の細胞老化およびSASP発現における影響を検討する予定である。 また、SASP発現の影響を示す代謝因子SIRT1によるp21の発現制御やSASPとの関連を検討する予定である。
|