2017 Fiscal Year Research-status Report
遺伝子欠損動物を基盤に展開する「栄養因子・ABC輸送体・運動器の相互連関解析」
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16K00879
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Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
中川 大 中部大学, 応用生物学部, 講師 (40397039)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ABC輸送体 / ABCB4 / 骨代謝 |
Outline of Annual Research Achievements |
本申請課題では、骨代謝に影響を及ぼすABCA1, ABCB4, ABCC5に重点を置きつつ、①骨・筋肉・脂肪の質と量を制御するABC輸送体の同定, ②ABC輸送体が制御する骨・筋肉・脂肪の質と量に影響を及ぼす栄養因子の同定, ③骨・筋肉・脂肪の質と量の制御における栄養因子とABC輸送体との連関の解明を行うことを目指している。今年度は、6, 12, 24, 48週齢のAbcb4遺伝子欠損マウスを対象にして、骨・筋肉・脂肪に対するAbcb4遺伝子の影響を評価した。骨については、マウスの後肢から脛骨および大腿骨を採取し、大腿骨を対象にして、長さおよび骨構造、骨形態を観察・解析した。筋肉については、マウスの後肢から前脛骨筋、腓腹筋、ヒラメ筋を採取し、体重当たりの湿重量を算出した。脂肪については、傍子宮脂肪、腎周囲脂肪、鼠径部皮下脂肪、肩胛骨間脂肪、後腹膜脂肪、副睾丸周囲脂肪、腸管膜脂肪を採取し、体重当たりの湿重量を算出した。また、飼料の摂取量および体重の変化も8週齢の時点から2週間毎に測定した。マウスの性別を問わず、12週齢以上のマウスにおいては、Abcb4遺伝子の欠損によって大腿骨長が有意に延長することを見出した。また、12週齢までのマウスにおいて、性別を問わず海綿骨密度および骨体積が有意に増加することを見出した。Abcc5遺伝子欠損マウスについては、6, 12, 24, 48週齢における検体数を揃えている途中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
動物の繁殖・維持を順調に行うことができ、骨・筋肉・脂肪にたいするABC輸送体遺伝子の影響を示すデータを順調に採ることができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、Abcb4遺伝子欠損マウスとAbcc5遺伝子欠損マウスを対象にして、骨・筋肉・脂肪に対するそれぞれの遺伝子の影響を評価する。骨代謝に影響を及ぼすことが見出されたAbcb4遺伝子については、Abcb4遺伝子欠損マウスの代表的な表現型「肝障害」に注目し、Abcb4遺伝子が骨代謝に影響を及ぼす分子機構の解明に挑む。
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Causes of Carryover |
実験動物の管理費用が動物の出産数に依存しているために1800円の残額が生じた。この残額については、次年度における実験動物の管理費用に充てる予定である。
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