2017 Fiscal Year Research-status Report
妊娠・授乳期の骨強度低下に寄与する食事性因子および骨代謝関連ホルモンの同定
Project/Area Number |
16K00887
|
Research Institution | Nakamura Gakuen College |
Principal Investigator |
河手 久弥 中村学園大学, 栄養科学部, 教授 (20336027)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 骨粗鬆症 / 授乳 / 骨代謝 / ビタミンD |
Outline of Annual Research Achievements |
1. 妊娠・授乳関連骨粗鬆症に関するリスク因子の評価 平成28年6月より、福岡山王病院産科にて、研究対象者(妊娠14週までの妊婦)の登録を開始し、平成30年3月末現在で134名の登録を完了している。早産のため妊娠後期のデータが取得できなかった人や、研究を途中で辞退する人がいるものの、妊娠初期から出産後12ヵ月までの5回すべての調査を完了できる対象者は100名程度に達すると推測される。 これまでの解析の結果、出産経験のある人は、出産経験がない人と比較して、踵骨骨超音波値が有意に低いことが明らかになった。今回の研究成果は、平成30年10月に開催される、第20回日本骨粗鬆症学会にて発表を予定している。 2. 若年女性の踵骨骨超音波値に寄与する因子の検索 本学女子学生631名を対象に踵骨骨超音波検査を行い、骨評価値とそれに関与する因子について解析を行った。踵骨骨超音波値と有意な正の相関関係があった身体計測値は、体重、BMI、ウエスト周囲径、体脂肪量、除脂肪体重、骨格筋量であった。また安静時心拍数が、踵骨骨超音波値と有意な負の相関を認めた。さらに、これら有意な相関を認めた項目を独立変数とし、踵骨骨超音波値を従属変数とする重回帰分析を行った結果、骨格筋量、安静時心拍数、BMI、体脂肪量が、踵骨骨超音波値に対する独立した説明因子として抽出された。(甲斐田遥香、河手久弥他.若年女性の音響的骨評価値に関与する因子の解析.第21回日本病態栄養学会年次学術集会 京都 2018年1月13日)
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
福岡山王病院産科における妊娠14週までの妊婦の登録者数は、平成30年3月末現在で134名に到達し、目標症例数の100名を上回ったため、新規の登録は中止してフォローアップを継続している。また、妊娠4か月の時点での母乳提供に関しても、平成30年3月末現在で約30名の同意が得られており、今後は、母乳中のビタミンD濃度の測定を行う予定である。 若年女性の踵骨骨超音波値に関する解析では、体重やBMIと正の相関を示し、心拍数と負の相関を示すことが明らかになっており、さらに解析数を増やして検討を行っている。
|
Strategy for Future Research Activity |
妊娠・授乳関連骨粗鬆症に関するリスク因子の解析では、今後、妊娠後期、出産後1ヵ月、4ヵ月、12ヵ月のフォローアップを継続して、骨超音波値の変動と各種パラメーターの関連について解析を行う。また、母乳中のビタミンD濃度の測定を行い、日光曝露や食事摂取量などとの関連について検討する予定である。 若年女性の踵骨骨超音波値に関する解析では、過去20年間の本学のヘルスチェックデータを活用して、踵骨骨超音波値の推移を検討するとともに、関連する因子について解析を行う。また、昨年度までの解析において、若年女性の骨超音波値が心拍数と負の相関を認めたので、心拍数と運動との関連、さらに交感神経の活動度を解析することを計画している。
|
Causes of Carryover |
血液検査に関しては、検査会社に依頼しているが、ホルモンや骨代謝マーカーなど特殊項目を含むため、月単位でまとめて検査を行っている。従って、検査費の支払いも月単位となっているため、平成29年度は未使用額が生じている。今後、さらにフォローアップの際に血液検査が必要であるため、未使用額は平成30年度の検査費に充てる予定である。
|