2017 Fiscal Year Research-status Report
新規機能性脂質によるメタボリックシンドローム予防に関する研究
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16K00890
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| Research Institution | Nishikyushu University |
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Principal Investigator |
柳田 晃良 西九州大学, 健康栄養学部, 教授 (00093980)
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| Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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| Keywords | 構造脂質 / メタボリックシンドローム / 脳機能 / 脂質代謝 / 酸化ストレス / n-3脂肪酸 / リン脂質 / 炎症 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的はメタボリックシンドロームの予防改善に活用できる機能性油脂の探索・創成と活用である。
これまで、メタボリックシンドロームの進展は記憶や認知症と関連することが認められている。その予防にn-3系多価不飽和脂肪酸（n-3系FUFA）の有益な作用が報告されている。しかし、多くはDHAを用いて研究されており、EPAの効果については殆ど注意が払われていない。さらに多くはトリグリセリド（TG）型脂質を用いて検討されている。はじめに認知症に対するTG型DHAとリン脂質型DHAの効果の違いについて検討し、DHA-ホスファチジルコリン（PC）はDHA-TG＋eggPCやDHA-TG+αglycerophosphorylcholine（GPC）に比べて、認知症予防改善に対してより有効であること示し、その作用機序の一端も明らかにした。
次に、認知症モデルマウス(SAMP8) に対するDHA-PCおよびEPA-PCのアルツハイマー軽減作用と機序について検討した。その結果、記憶や認知症の改善作用は両群で見られたが、EPAに比べてDHA-PCで効果が高いことを示した。両群ともアミロイドβを低下させ、アポトーシスや酸化ストレスを低下させ、炎症反応をdown- regulate し、ニューロン劣化に対する改善効果も示した。
次に、EPA-PC・PEおよびEPA-PSの効果を検討した。その結果、両群とも認知症を改善し、酸化ストレスとアポトーシスの顕著な改善を示した。EPA-PSはtauおよびb-アミロイド蓄積を軽減した。
したがって，これらの機能性脂質はサプリメントあるいは脳機能を改善できる機能性食品成分として利用できる可能性を示唆した。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
脂質の構造がメタボリックシンドローム予防・改善に重要である。最近の知見では、メタボリックシンドロームは脳機能を介して老化やアルツハイマー病などと関係することが知られている。平成29年度はグリセロ脂質構造，リン脂質及びトリグリセリドと結合した多価不飽和脂肪酸EPA, DHAを摂取した認知症マウスへの影響と作用機序について検討した。それらの成果として、幾つかの新知見と学術論文4件および日本脂質栄養学会大会における受賞講演１件が得られた。したがって、おおむね順調に進展しているものと評価している。
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| Strategy for Future Research Activity |
研究課題の最終年度であり、3年間の研究成果と成果報告書をまとめる。
本研究課題「新規機能性脂質によるメタボリックシンドローム予防に関する研究」でメタボリックシンドローム発症による代謝変動に関する脂質・糖代謝変動と防改善作用に有効な脂質構造体の基礎的知見は得られつつある。メタボリックシンドロームと関係する脳機能、認知機能に対して有益な脂質構造として、n-3PUFA含有リン脂質がn-3PUFA含有TG に比べて脳機能改善に有効であることを見いだしている。最終年度は、機能性油脂の探索や構造脂質のその機序として、酸化ストレス、炎症などの他、マイクロRNA解析などを通じて、メタボや老化の軽減に有効な機能性食品成分の見合わせを検討し、安全で新規な機能性油脂の創成と機能性食品成分としての応用について検討する予定である。
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| Causes of Carryover |
前前年度まで病気休職等の期間があり、十分な予算執行ができなかった。そのため、これまでの予算の残余が生じた。
本年度は仕上げの年度であり、実験に必要な試薬の購入、マイクロRNA分析委託の費用及び研究論文の投稿費用として使用する予定である。
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