2016 Fiscal Year Research-status Report
高コレステロール食慢性投与によるアルツハイマー型脳機能障害の解明と予防食の探索
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16K00894
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Research Institution | Nakamura Gakuen University Junior College |
Principal Investigator |
森脇 千夏 中村学園大学短期大学部, 食物栄養学科, 准教授 (90280289)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤倉 義久 大分大学, 医学部, 教授 (10165368)
伊奈 啓輔 大分大学, 医学部, 准教授 (20203193)
千葉 政一 大分大学, 医学部, 助教 (20457633)
酒井 久美子 大分大学, 医学部, 助教 (60225753)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 脳機能 / 視床下部 / 高コレステロール食 / アルツハイマー / 行動解析 / メタボローム解析 / ヒスタミン |
Outline of Annual Research Achievements |
高コレステロール食を習慣的に摂取するとアルツハイマー病になるのか? 私たちは高コレステロール食をマウスに慢性的に投与することにより脳機能障害が発症し、それがアミロイドβ の蓄積を伴うアルツハイマー型脳機能障害である可能性を発見した。本研究は、高齢化社会に向けて偏った食生活が、脳神経系にもたらす相乗的なリスクターゲットを生化学的な手段およびマウス動物実験を用いて解明し、明らかになったターゲットを抑制あるいは改善する物質を食品成分や食事に置き換えて検討することにより予防食の提案を行うことを目的とした。 平成28年度は、C57BL/6雄性マウスに4ヶ月間に亘り高コレステロール食を慢性投与し、飼育期間中、食行動、飲水行動等を評価した。また、rota-rode 試験、 Open field 試験などの行動解析を行った。行動解析後、深麻酔後に組織固定液にて灌流固定し検討臓器の摘出後、形態学的に評価した。視床下部におけるヒスタミン神経細胞数の減少・分泌能低下の検討には吻側から尾側にかけて10μm の連続切片を作成し検討を行っている。さらに、行動解析後、血液(総コレステロール、インスリン、レプチン、TG)の評価を行った。また視床下部を摘出し①Western blotting(SREBP2,HMGCR,HMGCS2, BDNF AMPKα1,HDC)、②マイクロアレイ(視床下部のmRNA を調整し遺伝子発現解析)、③メタボローム解析(視床下部の代謝産物を網羅的に解析)を行いおおよその結果を得た。以上の実験結果に基づいて慢性的高コレステロール食の摂取が、脳神経系にもたらす相乗的なリスクターゲットは何かを多角的に検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は、当初の予定通りに実験を行い結果を得ているが、新規性の高い研究でもあり、得られた実験結果の解釈に時間を要している。特に血液中の高コレステロール血症状態を脳にセンシング・情報伝達しているものは何か?これまでの実験により、高コレステロールの慢性的負荷によって視床下部のコレステロール動態が影響を受けることは結果より得られたが、それらがどのような機序で引き起こされるのか?追加実験も含め検討する必要がある。さらに脳関門の問題等についても重大な問題であり文献的考察も含めて対応する必要がある。また、遺伝子解析の結果についても、現在、視床下部をターゲットとした研究データが乏しく、得られた情報の解析に時間を要した。 さらに、これらの結果に基づく追跡および再現性実験には、本実験のマウス飼育期間が4 ヶ月と一定期間が必要であることなどからも、本研究の機序におけるリスクターゲットの最終決定が平成29 年度にまたがることとなりやや遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
1.平成28年度成果における追加実験およびリスクターゲットの決定 (1)追加実験:高コレステロール食の慢性的負荷により視床下部コレステロール動態はどの時点で影響を受けるのか?追加実験を行う。コレステロール動態の経時的変化についてメタボロームによって網羅的に解析を行う。 (2)リスクターゲットの決定:さらに①行動解析:rota-rode 試験、 Open field 試験、条件付けによる記憶学習能、ソーシャルインタラクションの行動解析、②形態学的検討:脳Aβ蓄積、Tau、神経原線維変性等の変化(電子顕微鏡、免疫染色、共焦点レーザー顕微鏡)を検討する。さらに、ヒスタミン神経細胞数の減少・分泌能低下の検討には吻側から尾側にかけて10μm の連続切片を作成し形態学的に検討する。③遺伝子解析・メタボローム解析結果よりリスクターゲットとして見出された脳代謝物等に関してWestern blotを実施する。 2.平成28 年度の結果による脳機能障害のターゲットに予防的に働く食品成分の検索 (1)予測する食品成分(食事性コレステロール吸収阻害、コレステロール合成阻害、脳内摂食調整成分)のうち、特に日本人のエネルギー摂取の約50%程度を占める穀物に含まれる成分に着目し検討することで予防成分を多く摂取できる可能性を予測している。(2)飼料の作製;検索された成分を高コレステロール負荷食に添加し慢性的に経口投与する。(3)平成28 年度に実施した動物実験1~5を同様に行い、その効果を比較検討する。
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Causes of Carryover |
前述の通り、本研究は高コレステロール食をマウスに4か月間負荷した後、様々な実験を実施している。概ね実験は順調に進展したが、本研究は新規性が高く、得られた実験結果の解釈に時間を要した。特にマクロアレイによる遺伝子解析では、先行研究において視床下部を解析した情報が少ないことなどから、得られた情報を解析するために時間を要し、次の実験が進行できない状況となった。また再現性の実験においても、4か月という長い飼育期間の影響もあり実験の遅れが生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度に計画していた実験費用として使用する。 1.平成28年度成果における追加実験およびリスクターゲットの決定 (1)コレステロール動態の経時的変化:メタボローム解析によって網羅的に解析を行う。(2)リスクターゲットの決定:①行動解析、②形態学的検討、③遺伝子解析・メタボローム解析結果よりリスクターゲットとして見出された脳代謝物等に関して追加のWestern blotを実施する。以上の実験のために実験動物、試薬、抗体類および実験備品、機器借用料として使用する。
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Research Products
(1 results)