2018 Fiscal Year Research-status Report
高コレステロール食慢性投与によるアルツハイマー型脳機能障害の解明と予防食の探索
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16K00894
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Research Institution | Nakamura Gakuen University Junior College |
Principal Investigator |
森脇 千夏 中村学園大学短期大学部, 食物栄養学科, 准教授 (90280289)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤倉 義久 大分大学, 医学部, 教授 (10165368)
伊奈 啓輔 大分大学, 医学部, 准教授 (20203193) [Withdrawn]
千葉 政一 大分大学, 医学部, 准教授 (20457633)
酒井 久美子 大分大学, 医学部, 助教 (60225753)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 高コレステロール負荷食 / 脳機能 / アルツハイマー / 遺伝子解析 / メタボローム解析 / 高コレステロール血症 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、高コレステロール食(HC食:2%-,0.2%-,0.02%-)の慢性投与が脳神経系にもたらす相乗的なリスクターゲットを生化学的な手段およびマウス動物実験を用いて解明した。 実験は、C57BL/6雄性マウスに4ヶ月間、高HC食および対照食(AIN93G)を経口投与し検討を行った。2%HC食マウスは、行動解析の結果、短期記憶能や社会性が低下し脳機能動態の変化が予測された。血清脂質動態は飼育4か月でTC、LDL、HDLが有意に増加し、TGが有意に低下した。また、血清レプチン、インスリンの有意な増加も認められた。LDL、TGは2%HC食負荷後、3日目で有意に増加しており、負荷後直ちに血清脂質動態が変化することが分かった。 脳神経系の形態学的変化は、抗ヒスタミン陽性反応領域が減少し、神経細胞の萎縮、細胞内ゴルジ複合体の空胞化が認められ、神経ヒスタミン細胞内にアミロイドβの蓄積がみられた。このことから高HC食の負荷によって、マウスは高コレステロール血症を発症しAD様の脳機能障害と行動変化が観察された。脳内でも有意にコレステロール量が低下していたことからWestern-blotting法により、視床下部のコレステロール合成能について検討したところHMGCRなどの合成経路がたんぱく質レベルで抑制され、AMPKα1、HDCが低下していた。さらに遺伝子解析を行った結果、2%HC食マウスでは脳内の摂食シグナル因子であるAGRPの活性化と視床下部に特徴的なホルモンの分泌、またシグナル伝達ペプチドの発現が亢進していた。このことから炎症性のシグナルペプチドの増加により視床下部の神経細胞は持続的なレプチン刺激によって、炎症が励起されAGRPの異常発現活性化が伴ったと推測された。さらに脳代謝物については、メタボローム解析を行い網羅的な解析を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究は、新規性の高い研究でもあり、得られた実験結果の解釈に時間を要している。特にメタボローム解析では、高HC投与により脳代謝動態が475成分同時に定量された。検出された結果の同定のため,データベースとの照合や,代謝マップと関連づけした構造決定を試みているが、結果が広範囲にわたり時間を要している。本年度末にこれらの同定のための解析ソフト(IPA, パウェイ解析ツールアカデミックリミテッドネームユーザー25データセット)を購入した。脳視床下部のマイクロアレイの結果と組み合わせることで、より詳細な高HC食の影響が検討できると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
1.メタボローム解析とマイクロアレイの結果を照合し、高HC食の慢性投与における脳機能への影響について検討する。 2.遺伝子レベルでの炎症性シグナルの変化が認められたことから、Western-blottig法によりたんぱく質レベルでの変化について検証する。 3.これまでの研究成果に基づき脳機能障害のターゲットに予防的に働く食品成分の検索 ※予測する食品成分(食事性コレステロール吸収阻害、コレステロール合成阻害、脳内摂食調整成分)のうち、特に日本人のエネルギー摂取の約50%程度を占める穀物に含まれる成分に着目し検索された成分を高HC食に添加し慢性的に経口投与し、血液動態、脳機能動態を比較検討する。
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Causes of Carryover |
前述の通り、本研究は新規性が高く、得られた実験結果の解釈に時間を要した。 (使用計画) これまでの成果における追加実験およびリスクターゲットの決定:(1)コレステロール動態の経時的変化:メタボローム解析によって網羅的に解析を行う。(2)リスクターゲットの決定:①行動解析、②形態学的検討、③遺伝子解析・メタボローム解析結果よりリスクターゲットとして見出された脳代謝物等に関して追加のWestern blotを実施する。以上の実験のために実験動物、試薬、抗体類および実験備品、機器借用料 (3)論文の投稿費用として使用する。
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