2017 Fiscal Year Research-status Report
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16K00898
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Research Institution | National Center for Child Health and Development |
Principal Investigator |
河合 智子 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, 周産期病態研究部, 室長 (40423404)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 胎児期栄養 / 妊娠期体重増加量 / DNAメチル化変化 / 臍帯血 |
Outline of Annual Research Achievements |
胎児エピゲノムは成人期まで遺残し、遠隔期の疾病発症に関与しているかもしれないと考えられいてる。我々は、胎児期の環境が出生時にどのようにエピゲノムに影響するのか、胎児期栄養環境に着目し、胎児エピゲノムに及ぼす影響とその制御機構を明らかにする目的で研究を行った。 妊娠合併症のない母体60例を対象に、臍帯血を採取しDNAを抽出後、メチル化値測定アレイを用いて約85万か所のメチル化値を測定した。 胎児期栄養環境として、妊娠期体重増加量(gestational weight gain; GWG)に着目し、推奨増加量を指標にその影響を検討した。これまでに他者らによる大規模コホート研究で、GWGと量的に関連するDNAメチル化変化は存在しないと報告されている。我々は、GWGの影響は、推奨増加量を起点に不足か過剰かで標的が異なると考え、先行研究のように、その区別なくGWGとDNAメチル化の量的関連を見ることはできないと考えた。そこで、推奨量の上限以下のグループと下限以上のグループに分けて解析を行った。 その結果、推測したとおり、すべての検体を対象に量的関連を観たところ、4か所でしか関連部位が検出されなかったが、推奨量の上限以下のグループだけで解析すると、GWGと量的に関連するDNAメチル化部位が44ヵ所で検出された。一方、推奨量の下限以上のグループでは量的関連は4か所でしか検出されなかった。 本研究より、GWGが不足していることが影響するDNAメチル化部位のほうが、過剰である影響より多く検出されることを見出した。日本人妊婦GWGは欧米諸国に比べ、少ないことが特徴であることより、過剰であることの影響は見られにくかったと考えられる。いっぽうで、不足であることが、胎児細胞内で、DNAメチル化変化と関与していることを明示し、エピゲノムの点からも、適正な妊娠期体重増加が胎児発育に重要である事を裏付けた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の目的の通り、胎児期栄養環境が胎児エピゲノムに及ぼす影響を解明することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、この機構を明らかにするため、胎児期栄養環境の中でも各栄養素に着目し、栄養環境が胎児エピゲノムに及ぼす役割について、明らかにする目的である。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、学会発表のための旅費が今年度は抑えられた結果である。 翌年度は実験に必要な物品費のほかに、学会発表、論文発表のための費用が必要となるため、使用予定である。
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Research Products
(3 results)