2017 Fiscal Year Research-status Report
太平洋島嶼国の肥満対策に資する食事調査ツールの開発
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16K00918
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Research Institution | Nakamura Gakuen College |
Principal Investigator |
水元 芳 中村学園大学, 栄養科学部, 教授 (20581630)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中澤 港 神戸大学, 保健学研究科, 教授 (40251227)
太田 雅規 福岡女子大学, 国際文理学部, 教授 (70341526)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 食事調査ツール / 太平洋島嶼国 / ミクロネシア / 肥満 / 妊産婦 |
Outline of Annual Research Achievements |
太平洋島嶼国での伝統的文化背景が考慮され、食事内容がより正しく把握できる調査ツールの開発を目的とし、昨年度までに実施した予備調査結果を踏まえ、食事調査実施へのサポートをもらう現地機関との研究契約を交わした。調査ツール(暫定版)開発のための調査対象者はポンペイ州在住のリプロダクティブ・ステージ(15~49歳)の女性(妊婦を含む)30名とし、非妊娠・妊娠・授乳のステージ分類、居住地、調査実施の季節などを考慮してサンプル選定を行った。 1)乾季、2)雨季、3)非日常的なイベントを含む期間 の3回に渡って食事調査を実施することとし、2018年2月に第1回目本調査を行った。1カ月間のうち連続した、または連続しない5日間(日曜日を含める)の食事秤量とその記録、およびインスタントカメラで食事の写真撮影をしてもらい、記録シートおよびカメラを回収した。当初は食事の秤量を含めてはいなかったが、24時間思い出し方から秤量記録方に変更、また写真画像が簡単に消去できないよう、デジタルカメラの貸与をインスタントカメラの貸与に変更した。第1回目は、都市部、地方部(山岳部と海岸部に細分)から一般女性、妊婦、授乳婦を計20名リクルートし、対象者に食事記録と撮影に関するワークショップを実施した後、記録を開始してもらった。 調査結果からエネルギーと各種栄養素の摂取量計算はまだ進行中であるが、第2回目調査に向けての食事調査ツール(暫定版)を作成するために対象者が高頻度で食べている食品名の抽出と平均的なポーション・サイズの設定までを行うことができた。なお、食事調査ツールはミクロネシア版食事頻度質問票(Food Friquency Questionnaire: FFQ)タイプのものとし、第2回目調査では暫定版FFQを用いて食事記録との誤差を検討する予定としている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本調査実施前準備段階の平成28年度に現地協力機関であるポンペイ州保健局の局内で大幅な人事異動があり、母子保健担当部署でも主要スタッフが異動したたため研究計画の詳細を当初の予定通り進めていくことができなかった。また、平成28年度にリクルートしていた現地NGOの主要スタッフも他機関へ移り、今年度新たな協力機関を探し、個人としてではなく機関との契約を結ぶことに時間を要した。さらに、所属大学疫学倫理審査委員会で承認を得た研究計画に対して現地保健局から調査許可書が発行されるまでに約半年を要し、当初は今年度8月に実施予定の第1回目調査が2018年2月まで延期されることとなった。度重なる現地関係機関での人事異動は、研究開始後に州知事選挙が行われ、新しい州知事のもと、局長クラスのポストに大幅な入れ替えがあり、そのことが担当スタッフの部署異動に影響を与えたと思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
第1回目調査結果からミクロネシア版FFQを暫定版ながら作成できた。当初調査ツールのプレテストは同州5カ所の保健センターで計100名のデータを収集して調査票の信頼性・妥当性を検討する予定であったが、研究計画の遅れから、第2回目食事調査に平行して、その対象者をプレテスト対象者としてFFQから求められるエネルギー・栄養素の摂取量と秤量・写真記録法で算出してく個々のエネルギー・栄養摂取量との相関性を検討していく。 第2回目調査は2018年5月に、第3回目をクリスマス・シーズンである12月に実施する予定。第3回目調査は本研究機関終盤時期であることから、第3回目の調査結果は第2回目調査結果で修正したFFQの微修正を行うためとして位置づけ、エネルギーと各種栄養素摂取量の計算は第2回目終了時に一旦算出して結果を分析する。 FFQには「肥満につながるリスク食品」のみを項目とせず、調査項目を拡大して5日間のおおよそのエネルギー・各種栄養素の平均摂取量が計算できるものとするため、各食品項目の平均的なポーションサイズを設定していく。 さらに、第1回目調査からは「問題のある食行動」も抽出しており、第2回目調査ではFFQに食行動に関する質問項目を加えたものをプレテストしていく予定としている。 なお、調査結果はその都度論文化できるよう分析を進めていく。
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Causes of Carryover |
当初の研究計画に基づいた研究活動の実施に至らず、次年度使用額が生じたが、研究最終年度となる来年度中に当初の研究期間内に実施予定であった活動はすべて完了する計画である。
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