2016 Fiscal Year Research-status Report
現代の生活習慣が引き起こす血栓症を予防する新規食品機能成分の探索と応用
Project/Area Number |
16K00920
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
大藏 直樹 帝京大学, 薬学部, 准教授 (60349256)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷口 雅彦 大阪薬科大学, 薬学部, 教授 (00278590)
忍足 鉄太 帝京大学, 薬学部, 教授 (00279043)
大石 勝隆 国立研究開発法人産業技術総合研究所, その他部局等, グループ長 (50338688)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 血栓症 / 健康食品 / 生活習慣 |
Outline of Annual Research Achievements |
深夜勤務やシフトワーク、睡眠障害による生活リズムの乱れ、肥満や糖尿病などの生活習慣病は血栓症の発症リスクを増加させる。また、我が国が直面している社会の超高齢化により、今後確実に血栓症が増加する。本研究は、これまでに申請者らが構築してきた肥満、加齢、睡眠障害、時差ぼけによって血栓傾向が見られる独創的なモデルマウスによる評価系を応用し、現代の生活習慣によって起こる血栓症を日常の食生活から予防する新しい食品やその成分を見出して、ヒトで応用することを目的とする。そして、これらを使って新たな保険機能食品の利用基盤を築き、食生活からの血栓症の予防を目指す。 当該年度は、血液凝固反応、血小板凝集反応、血管内皮細胞などを使った独自の評価系を使って新規候補食品の探索を行うとともに、モデルマウスを使った動物実験での検討も開始した。 黒酢10倍濃縮液および黒酢もろみ末には、炎症性の血栓傾向を抑制する効果が見られた。また、黒酢もろみ末のエタノール抽出物については、血小板の凝集を抑制する効果を見出した。そこで、黒酢10倍濃縮液および黒酢もろみ末については、血小板凝集抑制や血管内皮細胞からのPAI-1産生抑制、血液凝固時間延長などを指標に、クロマトグラフィーを用いた分画を開始した。マウスモデルを用いた検討では、肥満糖尿病マウスを用いた検討で、アシタバ黄汁による血栓形成傾向の抑制作用が確認できた。また、アシタバ黄汁や黒酢もろみを含んだ餌を摂取させて飼育すれば、加齢による血栓形成傾向が抑制される可能性も見えてきた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究開始時に予定した候補食品からの探索研究については、予定数の評価が行えていないという点でやや遅れている。しかし、黒酢10倍濃縮液や黒酢もろみ末の成分の分画研究は開始しており、また、2年目以降に本格的に進める予定だった、マウスモデルを用いた検討は、肥満マウスでの検討を中心に予定より少し早目に進行しているため、全体としては、おおむね順調に進行していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
現在進行中の黒酢10倍濃縮液や黒酢もろみ末およびアシタバ黄汁の効果の検討では、各種動物モデルでの検討に重点を置きながら分画研究と共に進行させる。 新規候補食品に関する抗血栓性の調査と抗血栓性物質の探索の部分の遅れを取り戻すことにより、探索段階から動物実験に移行できる候補食品の数を増やす。そして、これらの中から、生活習慣が引き起こす血栓症を予防する機能を見出し、応用に向けて推進する。
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Causes of Carryover |
食品からの新規候補物質の探索研究の部分の遅れに伴い、分画研究の進行も遅れ、成分の分画に使うクロマトグラフィー関連の消耗品購入費が予定より少なかったため。また、肥満糖尿病モデルマウスや加齢促進モデルマウスなど高価なマウスの購入数が少なかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
モデルマウスを用いた検討については予定通り進行すると思われる。やや遅れ気味の候補食品からの探索研究の部分についての遅れを取り戻すことにより、全体として翌年度請求助成金と合わせてた使用予定額となる予定である。
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