2017 Fiscal Year Research-status Report
乳酸菌が貪食細胞のアレルゲン除去に及ぼす影響評価方法
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16K00928
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Research Institution | Osaka Ohtani University |
Principal Investigator |
坂崎 文俊 大阪大谷大学, 薬学部, 教授 (90309378)
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Project Period (FY) |
2016-10-21 – 2019-03-31
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Keywords | 乳酸菌 / アレルギー / マクロファージ / 貪食 |
Outline of Annual Research Achievements |
白血球の一種であるマクロファージ培養細胞株J774.1細胞の貪食(異物の取り込み)作用を検討するため、平成28年度は蛍光標識ビーズを用いたのに対し、平成29年度はさらに実際のアレルギーの状況に近づけるため、卵アレルギーの主要な抗原であるオブアルブミンに対する貪食効果を検討した。タンパク質を蛍光標識する試薬を用いてオブアルブミンを蛍光標識し、マクロファージ細胞に添加した。滅菌した乳酸菌を添加して、蛍光標識オブアルブミンが細胞内に取り込まれる様子を蛍光顕微鏡で観察した。 マクロファージに乳酸菌を添加しても、蛍光標識オブアルブミンは細胞内に取り込まれなかった。オブアルブミンに対する抗体を同時に添加して実験すると、蛍光標識アルブミンはマクロファージ細胞内に取り込まれ、乳酸菌を添加するとさらに取り込み量が増加した。このことから、乳酸菌を添加してもマクロファージのあらゆる貪食作用が増強されるのではなく、Bリンパ球の分泌する抗体が結合(オプソニン化)したアレルゲンに対する貪食が乳酸菌添加によって増強されることが示唆された。 実験に最適な培養時間を検討し、蛍光標識オブアルブミン、抗体、および乳酸菌を細胞に添加してから3時間の時点で蛍光顕微鏡で観察することが最も適切であることが示唆された。 ただし、この方法は蛍光顕微鏡の操作中に試料が乾燥してしまい、蛍光顕微鏡の中でも性能の良い共焦点レザー顕微鏡で観察しようとしたが、測定条件を試行錯誤しているうちに試料が乾燥して作業の続行が難しくなるという問題があった。またカバーガラスの押さえ方によって細胞が動いてしまったりして正確性に欠けた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
マクロファージ細胞の貪食機能がだんだんと弱くなってきた。初めは蛍光顕微鏡の操作が分からなくなって良い画像が得られないと思っていた。並行して行っている別の研究でも遺伝子発現が弱くなってきていることや、細胞の増殖が遅くなってきていることから、細胞を繰り返して使用する「継代培養」を長く続けすぎて、培養細胞が変質している可能性が考えられる。今後は細胞を新たに購入して実験をやり直す必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでマクロファージ細胞の貪食機能を評価してきたので、引き続いて、貪食したアレルゲンを細胞が分解している様子を評価するため、細胞の異物分解機能の指標となる遺伝子発現を測定する。 また、研究の遅れを解消するための工夫を行う。実験を行っていて細胞の反応が悪くなってきたように思われるため、培養細胞を新たに購入することを考える。実験を一人で行うことが難しいと判断される場合、外部委託サービスを利用して解析を依頼することを考える。
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Causes of Carryover |
研究初年度に着手が遅くて平成29年度の助成額が多かったことに加えて、培養細胞の不調から平成29年度の後半にほとんど実験ができなかった。平成30年度は培養細胞を新たに購入して研究を再開する。一人で実験ができなさそうであれば、外部委託サービスを利用して解析を依頼することも検討する。
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