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2017 Fiscal Year Research-status Report

生活習慣の乱れから起こるNAFLD/NASHの診断キットの開発

Research Project

Project/Area Number 16K00931
Research InstitutionHiroshima International University

Principal Investigator

長嶺 憲太郎  広島国際大学, 薬学部, 准教授 (80412352)

Project Period (FY) 2016-04-01 – 2019-03-31
KeywordsHNRNPM / NASH / AGE
Outline of Annual Research Achievements

本研究では、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)患者の早期発見のための非侵襲的なバイオマーカーの同定を目的としている。これまでに本研究室では、肝実質細胞株に生理的条件下に近いフルクトースを処理することで細胞内AGEsを多量に形成させることに成功している。さらに、フルクトース処理した細胞内に有意に増加されたAGEs化蛋白質を探索した結果、遺伝子発現に関与している蛋白質Heterogeneous nuclear ribonucleoprotein M (HNRNPM) を同定してきた。
高フルクトースにさらされると、HNRNPMが糖化されることによってmRNAへの結合能に変化が起こり、下流に存在する遺伝子の発現が変化するのではないかと考え、HNRNPMの発現量を抑制するRNA干渉法を用いて、NAFLD/NASH関連遺伝子の選定を試みた。すなわち、RNA干渉によってHNRNPMの発現を抑制したヒト肝癌細胞株Hep3Bを用いてDNAマイクロアレイ解析した。この結果、ノンコーディングRNAについて着目すると、発現量が増加した遺伝子は12遺伝子あり、減少した遺伝子は2遺伝子があった。次に、これらの遺伝子が本当に発現量の増減が見られるかをRT-PCRにより確認する必要がある。減少が見られた2遺伝子については、プライマー等の条件が決まり実際に減少していることも確認できた。特に、発現量が減少した遺伝子については、Hep3B細胞をフクルトース処理することによっても発現量の減少が見られたことから、HNRNPMがフルクトースによって糖化されたことにより、これらの遺伝子の転写量が減少したことが考えられた。
今後、NASHのバイオマーカー候補遺伝子となる可能性があるため詳細な検討を行う予定である。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本年度では、NAFLD/NASH診断候補遺伝子の探索として、HNRNPMの発現をRNA干渉によって抑制することによって、138遺伝子が1.5倍以上増加し、100遺伝子が1.5倍以上減少することがDNAマイクロアレイ解析により明らかとなった。リキットバイオプシーによる診断のためには、細胞外に分泌される遺伝子(遺伝子産物)の同定が必要である。今回見出した遺伝子産物の細胞分布をジーンオントロジー解析によって調べた結果、発現が増加する遺伝子として16遺伝子が、減少する遺伝子として12遺伝子が細胞外へ分布することが見出された。さらに、ノンコーディングRNAについて着目すると、発現量が増加した遺伝子は12遺伝子あり、減少した遺伝子は2遺伝子があった。
特に、減少が見られた2遺伝子のノンコーディングRNAについては、RT-PCRにより発現量の減少を確認でき、また、Hep3B細胞をフクルトース処理することによって発現量の減少が見られた。このことから、HNRNPMがフルクトースによって糖化されたことにより、これらの遺伝子の転写量が減少したことを示唆する結果が得られた。

Strategy for Future Research Activity

ノンコーディングRNAは、細胞内外で機能することが知られている。特に、細胞外で働くためにはエクソソームのような細胞分泌顆粒内に留まることがある。従って、これらの遺伝子(ノンコーディングRNA)が実際に細胞外で検出できるかを検討する。特に、これらの遺伝子の中にはエクソソームで働くものも含まれていたため、これらの中に診断マーカーとなりうる遺伝子があるか検討を進めるつもりである。そのためには、簡便なエクソソームの抽出方法を確立しなければならない。現在、様々な方法の抽出技術が確立されている。その中で、後述する遺伝子増幅に繋げるために最適な抽出法を選ばなければならない。まずは、培養細胞の培養上清を用いて検討を行う。
遺伝子診断のためには、特異的な遺伝子増幅用プライマーを設計しなければならない。特に今回の計画では、等温遺伝子増幅法であるLAMP法を用いた迅速判定を考えている。特異的遺伝子に対する遺伝子増幅用プライマーの設計は、4種類の候補プライマーを作製する。これまでの経験上、4種類作製すれば特異的かつ短時間に増幅できるプライマーができると考えている。反応試薬は、ドライ型試薬を想定しておりエクソソーム抽出物を入れるだけで反応できる系の確立を目指したい。
一方で、研究を遂行する上での課題もある。すなわち、実際にヒト検体を用いた場合のエクソソーム抽出効率および遺伝子増幅効率への影響である。これについては、NASH患者および健常者の血清を6サンプルずつ入手しており、これらを用いて検討する予定である。また、条件が決まり次第、減少した2遺伝子の発現量の変化を測定するつもりである。

  • Research Products

    (4 results)

All 2018 2017

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results,  Open Access: 1 results) Presentation (3 results)

  • [Journal Article] Gene Expression Changes Associated with the Loss of Heterogeneous Nuclear Ribonucleoprotein M Function2017

    • Author(s)
      Takino Jun-ichi、Nagamine Kentaro、Suzuki Mikoto、Sakasai-Sakai Akiko、Takeuchi Masayoshi、Hori Takamitsu
    • Journal Title

      American Journal of Molecular Biology

      Volume: 07 Pages: 87~98

    • DOI

      10.4236/ajmb.2017.72007

    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Presentation] RNA結合蛋白質HNRNPMのノックダウンによる下流遺伝子の網羅的解析2018

    • Author(s)
      長嶺憲太郎,瀧野純一,和氣亜莉沙,安田華織子,竹内正義,堀隆光
    • Organizer
      日本薬学会第137年会
  • [Presentation] 肝星細胞の活性化における終末糖化産物(AGEs)の影響2018

    • Author(s)
      瀧野純一,長嶺憲太郎,佐藤拓真,竹内正義,堀隆光
    • Organizer
      日本薬学会第137年会
  • [Presentation] RASGRP2による血管内皮細胞死の抑制2017

    • Author(s)
      佐藤拓真,瀧野純一,長嶺憲太郎,堀隆光
    • Organizer
      2017年度生命科学系学会合同年次大会

URL: 

Published: 2018-12-17  

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