2016 Fiscal Year Research-status Report
疾患モデルショウジョウバエを用いた食品成分の生理機能解析
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16K00937
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Research Institution | Yamanashi Gakuin Junior College |
Principal Investigator |
萱嶋 泰成 山梨学院短期大学, その他部局等, 准教授(移行) (90365453)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今井 伸二郎 東京工科大学, 応用生物学部, 教授 (50629152)
小林 公子 静岡県立大学, 食品栄養科学部, 教授 (90215319)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 食情報 |
Outline of Annual Research Achievements |
ライ麦外皮由来の成分であるアルキルレゾルシノール (ARs) について、これまでに野生型ショウジョウバエでの投与実験によって個体寿命が劇的に延長する結果を得ている(特許出願, 2012)。個体寿命に関与するサーチュイン関連遺伝子について、ショウジョウバエの相同遺伝子はSir2であり、突然変異体個体も知られている。赤ワイン成分のレスベラトロールが証明された方法 (Nature, 2004) と同様の手法となるSir2突然変異体個体を用いた投与実験を行ったところ、野生型ショウジョウバエでみられた寿命延長が認められなかったことから、ARsはサーチュインを介した寿命延長作用を有する成分であることを明らかにした。更に、ショウジョウバエ成虫の摂食量を測定する方法(CAFE アッセイ)を用いてARs含有餌とレスベラトロール含有餌の摂食量を比較、ならびにARs、レスベラトロールそれぞれの摂食時における栄養代謝関連遺伝子の発現量変化を定量的RT-PCR法で測定して比較した。その結果、ARsはレスベラトロールとは異なった機構でサーチュインを活性化させている可能性が明らかとなった。 イミダゾールジペプチドの一種であるアンセリンとカルノシン (AC) について、その生理活性作用を調べるための疾患モデルショウジョウバエとして、MBF1 (multiprotein bridging factor 1) の突然変異体系統(Jindra, et al. 2004)を入手した。 ショウジョウバエにおける主要なジペプチド分解酵素と考えられるCNDPについて、その遺伝子を欠く新規な突然変異体系統を樹立して表現型を調べたところ、CNDPが抗酸化に関わっている可能性が明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請時に掲げた計画通りであるため
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Strategy for Future Research Activity |
イミダゾールジペプチドの一種であるアンセリンとカルノシン (AC) は、動物の筋肉中に多く含まれ、抗酸化作用や摂取による疲労回復効果が示唆されるなどの生理作用が指摘されていたが、体内における具体的な作用は未知であった。これまでに野生型ショウジョウバエへのAC投与実験によって、ACがインスリンシグナル伝達経路 (ILS経路) に関与する可能性を見出している (Kayashima et al. 2014 国際会議発表など)。今後は、投与による遺伝子発現量や体内の生理変化を調べるとともに、疾患モデルショウジョウバエを用いた解析を行い、ACの具体的な生理活性作用を明らかにしていく。
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Causes of Carryover |
当初の計画よりも消耗品の支出を抑えることが出来たため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
ショウジョウバエの飼育と維持のため、パート作業員を雇用する予定である。
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Research Products
(6 results)