2018 Fiscal Year Research-status Report
加齢に伴う睡眠障害性代謝異常のメカニズムの解明と時間栄養学的予防・改善方法の開発
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16K00940
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
大石 勝隆 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 研究グループ長 (50338688)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 体内時計 / 時間栄養学 / 生活習慣病 / レプチン / 体温 / 骨格筋 / 低栄養 |
Outline of Annual Research Achievements |
摂食リズムの乱れによる代謝異常の発症メカニズムを解明するために、マウスを使った時間制限給餌の実験を行ってきた。非活動期の時間制限給餌(休息期のみの摂餌)が、短期間で肥満を誘発することを明らかにし、そのメカニズムとして、レプチン抵抗性が大きく寄与している可能性について論文発表を行った。この非活動期の時間制限給餌による肥満について、運動習慣による改善効果を検討するために、回転かごの有無による比較を行った。回転かごのあるケージにおいては、マウスは自発的に1日8kmほどの距離を走ることになるが、非活動期の時間制限給餌による肥満を抑制することはできなかった。従って、摂餌のタイミングは、運動習慣の有無よりも大きく肥満に寄与する可能性が考えられ、論文として発表した。 非活動期の時間制限給餌による肥満発症において、体内時計を制御している時計遺伝子の関与を明らかにする目的で、時計遺伝子Clockの変異マウスを用いて検討を行った。その結果、Clock遺伝子の変異は、非活動期時間制限給餌による肥満にほとんど影響しないことが明らかとなり、論文に発表した。 我々が独自に開発したストレス性睡眠障害モデルマウスを用いて、睡眠障害を改善する食品成分の探索を行った。加熱処理した乳酸菌Lactobacillus brevis SBC8803の摂取が、睡眠障害を改善することが判明し、論文に発表した。1ヶ月間の慢性的な睡眠障害の負荷に対して、ナチュラルココアの摂取が抑制効果を持つ可能性が示された。具体的には、ストレス負荷に伴う活動期の活動量の減少を有意に抑制し、結果的に、明暗の活動リズムの減衰を改善した。また脳波測定の結果からは、非活動期のノンレム睡眠の減少を改善し、活動期の覚醒低下を改善した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当初には予期しない実験の実施を担当する研究協力者(研究補助員)の確保が困難となった。具体的には、実験動物の脳波測定を担当する契約職員について、産休後の育休が年度途中で延長となり、2019年4月に復帰することとなった。更に、実験動物の行動実験を担当する技術研修生(学生)が体調不良に伴う休学となったため、行動測定実験に関しても、2019年4月以降まで研究を実施できる体制が構築できなくなってしまった。
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Strategy for Future Research Activity |
ストレス性睡眠障害モデルマウスを用いた研究から、睡眠障害の改善効果が期待できる食品成分を複数同定しており、そのメカニズムを明らかにしつつ論文にまとめる。
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Causes of Carryover |
当初には予期しない実験の実施を担当する研究協力者(研究補助員)の確保が困難となった。具体的には、実験動物の脳波測定を担当する契約職員について、産休後の育休が年度途中で延長となり、研究の進捗に遅れが生じた。更に、実験動物の行動実験を担当する技術研修生(学生)が体調不良に伴う休学となったため、行動測定実験に関しても、2019年4月以降まで研究を実施できる体制が構築できなくなってしまった。
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