2017 Fiscal Year Research-status Report
医薬品に適用される製剤試験による健康食品の品質評価に関する研究
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16K00942
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Research Institution | Osaka Institute of Public Health |
Principal Investigator |
梶村 計志 地方独立行政法人 大阪健康安全基盤研究所, 衛生化学部, 課長 (40250336)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川口 正美 地方独立行政法人 大阪健康安全基盤研究所, 衛生化学部, 主任研究員 (30260368)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 健康食品 / 製剤試験 / 溶出試験 / 崩壊試験 / ビタミン |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度に入手した23種類の健康食品を対象として、ビタミン類の定量を行った。また、各製品について、医薬品に適用される製剤試験である溶出試験を実施した。さらに、平成28年度における検討から、錠剤型の一部の健康食品に崩壊性に係る品質の不備が確認されため、医薬品または医薬部外品として販売されている製品について崩壊試験を実施し、その品質を健康食品と比較した。 1)分析法の選択およびビタミン類の定量:水溶性ビタミン(B1.B2およびB6)の測定法として、ヘプタンスルホン酸ナトリウムをカウンターイオンとして添加する高速液体クロマトグラフィーによる一斉分析法を選択した。また、脂溶性ビタミン(トコフェロール同族体)の分析には、同様に逆相系の高速液体クロマトグラフィーを用いた。これらの方法により、各ビタミン類の分析を行ったところ、妨害となるピークはほとんど認められず、概ね良好なクロマトグラムを得ることができた。定量試験の結果、ビタミンEを主成分とする健康食品の大部分(7製品中6製品)には、α-トコフェロールが配合されていることが明らかとなった。2)溶出性に係る品質:試験液に水を用い、日本薬局方に準じてパドル法により、水溶性ビタミンを対象として溶出試験を行った。各ビタミン類の溶出性は、製品により大きく異なっていた。試験開始から2時間後でも、B2がほとんど溶出しない製品も見受けられた。また、個体により溶出挙動にバラツキが認められる製品も存在した。3)崩壊性に係る品質(医薬品または医薬部外品との比較):医薬品または医薬部外品として販売されている製品(3製品;錠剤型)について、崩壊試験を実施したところ、40分以内に全て崩壊し、個々の錠剤間のバラツキもほとんど認められなかった。医薬品および医薬部外品の崩壊性に係る品質は「いわゆる健康食品」として販売されている製品とは、明らかに異なっていた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度は、交付申請書に記載した研究実施計画に従い、検討を行った。「いわゆる健康食品」および「栄養機能食品」を対象とし、含有される各種ビタミン類の分析法を選択し、定量試験を行った。また、医薬品の品質管理に適用される製剤試験である溶出試験を実施した。さらに、平成28年度における検討から、錠剤型の一部の健康食品に崩壊性に係る品質の不備が確認されため、医薬品または医薬部外品として販売されている製品について崩壊試験を実施し、その品質を健康食品と比較した。研究は実施計画に従い、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
現時点で研究計画の大幅な変更は考えていない。平成30年度は、研究実施計画に従い、「いわゆる健康食品」の製剤学的な品質の時系列的な変化について検討を行う。具体的には、健康食品を医薬品の申請時にデータを提出することが求められている、加速条件下(温度:40℃、相対湿度:75%)で6ヶ月間保存し、各種製剤試験(溶出試験、崩壊試験、重量偏差試験および硬度試験)を実施する。また、最終年度であることから、3ヶ年間のデータの取り纏めを行う。
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Causes of Carryover |
平成29年度は、計画時に予定されていた予算額を年度内に概ね執行したが、平成28年度分の未使用額が存在し、結果として若干、平成29年度使用額が生じた。
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