2017 Fiscal Year Research-status Report
分子レベルを意識した化学用電子実験書の作成とその評価
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16K00953
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
生尾 光 東京学芸大学, 教育学部, 准教授 (50159589)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 燃料電池 / 電子実験書 / 教員研修 / SN1 / SN2 / CG教材 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.大学生向けの教材としてSN1とSN2で進行する塩素化のコンピュータグラフィックス(CG)動画を作成した。SN1としてはtert-ブタノールからtert-ブチルクロライドを生成する反応を、SN2としては1-ブタノールから1-クロロブタンを生成する反応を選定した。半経験的分子軌道法に基づいて作成したCG動画は反応中の構造変化を棒球モデルで、エネルギー変化を反応プロフィールにより表示する。開発したCG動画を電子実験書に組み込み、化学式やCGの静止画だけでは伝えられない分子の動的な構造変化を観察できるようにした。大学生に対する試行の結果、SN1における反応物の攻撃方向についてや反応に伴うエネルギー変化の理解に効果が認められた。 2.エネルギー概念の獲得や熱力学に関する学習ができる、燃料電池を題材とした実験学習プログラムを開発し、それに用いる電子実験書を作成した。電子実験書にはリアルな図を表示できるので学習者はスムースに実験学習を行うことができる。現職の中学校理科教員向けの教員研修で使用したところ、燃料電池の反応や燃料電池が発電装置であること、燃料電池の構造の理解が深まり、熱力学的データを用いた計算ができるようになった。受講者のコメントからは、「自分のペースでスライドが見られるので良かった。」、「見やすく便利であった」や「教材の説明をする教科書的な役割を持たせていたのが良かった」といったコメントが見られた一方で動画などがあればより効果的だとの提案も寄せられた。 30年度は燃料電池を題材とする実験学習プログラムとそれに用いる電子実験書とその試行結果を報告し、研究を取りまとめる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
28年度に開発したSN1とSN2の反応についてのCG教材の試行とその分析を進めその結果を報告することができた。それに加えて29年度は新たに燃料電池を題材とする実験学習プログラムを作成し、それに用いる電子実験書を作成し教員研修で試行することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
30年度は燃料電池を題材とする実験学習プログラムとそれに用いる電子実験書とその試行結果を報告し、研究を取りまとめる。
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Research Products
(8 results)