2017 Fiscal Year Research-status Report
クロミック材料を用いた理科学習教材開発に関する研究
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16K00962
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Research Institution | Hyogo University of Teacher Education |
Principal Investigator |
山口 忠承 兵庫教育大学, 学校教育研究科, 准教授 (60295722)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 科学教材 / フォトクロミズム / サーモクロミズム / 光の三原色 / 色の三原色 / 混色 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、フォトクロミック材料やサーモクロミック材料を用いた、小中学生向けの化学の基礎の概念を知ることのできる教材開発に関する研究を行っている。フォトクロミック材料やサーモクロミック材料は、熱や光照射によって色が変化する材料であり、発色した状態と消色した状態が可逆に変化する性質がある。これと、色の三原色を組み合わせ、小学校で学ぶ図工で学ぶ絵の具の混色の手法を利用して、色の三原色の絵の具の量を制御し、絵を描くための手順を工夫すれば、色の性質や濃度を変えることが出来ることによって、将来化学を学ぶ上で必要な定性的な変化や定量的な変化に結び付く教材の開発が期待される。これと同時に、物質の色を評価する手法を学ぶ上で、光の三原色同様に色を解析できる手法を提案し、高等学校の教科書知識と結びつけて色の評価を科学的に行うことの手法を学ぶことのできる教材開発も行う必要がある。 昨年度、市販のフォトクロミック材料の忍者えのぐのうち、紫外線で発色する色の三原色シアン、マゼンタ、イエローに相当する3色を用いて24色相環をつくり、その色相環を自由な絵を描く中での色見本として教材の実践の中で適用することを試みた。実際に行うと、作業の手順が煩雑で混色に時間がかかりすぎる問題や、混色が正しく行われたかの検証が難しいことが判明した。今年度は、大阪府の小学校3年生2クラスと、兵庫県の中学1年生2クラスを対象に、実際授業の中で実践できるような形で教材の実演と、そこから得られた成果の分析を行った。この分析と同時に、フォトクロミック材料の素材開発に関する研究と、研究室で用いることのできるサーモクロミック材料の作製に関する研究を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
小学校での授業実践に関し、実際の授業時間内で行うことのできるように、作業手順の時間を設け、教材をつかった実験の実施方法を改善して授業を実施した。小学三年生の場合は、作業手順として量を量るスポイトの使い方の手順を学び、そこから同一のパレット上で混色を行う手順に時間を割いた。中学校1年生での実践に関しては、高等学校で学ぶ光の色と、その光が当たって生じる物質の色の違いを意識させ、また、紫外線照射によって色の性質の変化する材料を用いて実験を行うことを事前に提示し、そのうえで作業手順について説明を行った。小学校と中学校における作業手順の説明は、色の3原色に相当するインク3色と、3色インクを1:1混合したもの(3色)を調合して行い、そのあと、絵を描く作業を行った。このあと、作業が適切にできたか、授業後の感想をアンケートで実施した。 フォトクロミック材料の素材開発に関しては、有機フォトクロミック材料ジアリールエテン研究成果を国際誌に報告した。また、サーモクロミックインクの材料に関しては、その原理を学ぶための青色ロイコ系色素の開発を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度に当たり、最初のフォトクロミックインクで科学の量や性質を学ぶ教材から、色を学ぶ教材への変化させるため教材の提示方法について検討し授業実践での評価に取り組む。実際に、兵庫県小野市の中学校でのフォトクロミックインクとサーモクロミックインクを用いた教材の実践と実践後の評価を行う。また、教育雑誌への成果公表を行う。この他、本関連する研究として、市販水彩絵の具を用いた色教材開発に関する成果と、フォトクロミック材料のジアリールエテンを用いた、化学変化に伴い外形の動きのある素材に関する成果をまとめる予定である。
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Causes of Carryover |
日本化学会第98春季年会(2018.3)の旅費(約35,000円)が未計上。実質は、次年度繰り越し額は数千円未満である。
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Research Products
(7 results)