2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K00967
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Research Institution | Naruto University of Education |
Principal Investigator |
胸組 虎胤 鳴門教育大学, 大学院学校教育研究科, 教授 (00200246)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 化学・生物の複合的素材 / 酵素 / 教材化と評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度に、食器洗い機用洗剤中に含まれる酵素を用いた化学と生物の横断的教材について、(1)アミラーゼを用いた教材、(2)プロテアーゼを用いた場合について、教材化を行った。アミラーゼを用いた教材では、唾液中に含まれるアミラーゼの反応と比較し、共通点はデンプンを加水分解して還元糖を生成すること、異なる点は反応を進行させる温度条件であった。唾液中のアミラーゼは100℃近い高温では失活するのに対して、食器洗い機用洗剤に含まれるアミラーゼは失活しなかった。このことから、酵素が生物外でも作用するとともに、異なる生物でも同様な反応をする酵素を有する事実を確認できると考えられた。 平成29年度は(1)アミラーゼを用いた教材を実際に用いて、鳴門教育大学附属中学校で授業を実施し、生物と物質の関係、同じ働きをする酵素でも、生物によって安定性が異なることが認識された。さらに、(3)リパーゼの反応によりトリグリセリドから生成するモノグリセリドの検出をおこなうために、N-ヒドロキシフタルイミド誘導体の開環反応を利用する実験を実施し、開環反応が分光光度計を用いて検出できることが明らかとなった。この方法においては、用いたN-ヒドロキシフタルイミド誘導体の吸収極大が高波長側(295nm)が開環によって275nmに移動した。このことを用いて、メタノールによる開環反応速度を求めることができた。この結果はアルコール性水酸をもつモノグリセリドの定量にも利用できるかもしれない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度に、食器洗い機用洗剤酵素に含まれる(1)アミラーゼと(2)プロテアーゼを用いた教材の作製とその実践授業を行った。平成29年度には(1)アミラーゼを用いた教材を中学校で実践して、その効果を検証した。さらに,(3)リパーゼの反応によって生成するアルコール性水酸基を定量する方法として、N-ヒドロキシフタルイミド誘導体の開環反応を利用した吸光度変化を利用することを試みた。反応の前後では吸収極大の波長が変化し、反応速度定数を求めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度には、洗剤酵素に含まれる(2)のプロテアーゼを用いた教材の作製とその実践授業を行うとともに、(3)リパーゼの教材の作製を行う。リパーゼの利用では単なるアルコールだけでなく、モノグリセリドの定量が可能な反応条件を検討する。
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Causes of Carryover |
(1)作製した教材を用いた演示実験を大学外部で実施することを当初計画していたが、適切な機会がなかったのに加え、学生の都合が付かなかったため、謝金・人件費の使用ができなかった。 (2)リパーゼの反応による脂肪の分解を検出するため、当初予定していた呈色反応よりも、吸光度の変化で定量も可能である方法(ヒドロキシフタルイミド誘導体)を試みたため、試薬等の物品費は少なくで済んだ。 平成30年度(1)については、謝金・人件費での使用を止め、実際の教材作製の物品費として使用する。(2)については、当初予定していたリパーゼの反応を検出する呈色反応の開発のための物品費として使用する。
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