2018 Fiscal Year Research-status Report
デジタル式プラネタリウムにおける天文教育手法の開発:学習投影の現状を踏まえて
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16K00969
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
松村 雅文 香川大学, 教育学部, 教授 (50239084)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 恒彦 国立天文台, 天文シミュレーションプロジェクト, 専門研究職員 (90413955)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | プラネタリウム / 天文教育 / 科学教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、小学校・中学校のクラスにおいて、より有効な天文学習を行うための、新たなデジタル式プラネタリウムに対応した学習投影の手法を開発することを目的としている。このため平成30年度は、(1) Mitakaを用いた銀河系の学習の検討を行い、(2) 香川大学教育学部附属中学校において研究授業を行った。また平成29年度に引き続き、(3) あすたむらんど徳島プラネタリウムにおける学習投影の検討を行った。更に、(4) 関係者ミーティングを平成30年12月9-10日に香川大学教育学部附属坂出中学校で行った。 (1) Mitakaを用いた銀河系の学習の検討:スケールを変えることで見える宇宙像が質的に異なってくることを認識できるのがMitakaの大きな特徴の一つであるが、このことのみならず、表示する天体を変えることで、歴史的に認識されてきた銀河系のイメージの変遷を再現できることを確認した。 (2) 香川大学教育学部附属中学校における研究授業:平成30年度秋に、附属坂出中学校3年生の3クラスにおいて実施した。授業でのMitaka使用/不使用のクラスに関して、事後のテストを行ったが、結果に有意な差は認められなかった。しかし、子どもたちのMitakaへの興味関心は高く、学習の動機付けには高い可能性があることを確認した。 (3) あすたむらんど徳島プラネタリウムにおける学習投影の検討:プラネタリウムでの学習投影を、学校の教室内での天文学習に関連付けるための課題を検討した。天文学習の内容設定のみならず、Miatakaを通常のプラネタリウムドームで用いるには、操作の継続性が問題であることや、学校教員への使い方の例示が不足していること等の残された課題を再認識した。 (4) 関係者ミーティング「プラネタリウムによる天文教育」(平成30年12月9-10日、香川大学教育学部附属坂出中学校にて)の開催:最終年度を迎える前にミーティングを持ち、研究の進捗状況を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成30年度は、(1) Mitakaを用いた銀河系の学習についての検討、(2) 香川大学教育学部附属中学校においての研究授業、(3) あすたむらんど徳島プラネタリウムにおける学習投影の検討を行い、いずれもほぼ順調に進展することができた。これらの進捗状況を確認するために、関係者ミーティング「プラネタリウムによる天文教育」(平成30年12月9-10日、香川大学教育学部附属坂出中学校にて)を開催した。 (1) Mitakaを用いた銀河系の学習についての検討:成果を、天文教育研究会および同集録で報告した。 (2) 香川大学教育学部附属中学校においての研究授業:中学校と協議し、研究授業を行うことができた。この成果は、学部学生(平成30年度卒業性)の卒業研究において報告された。 (3) あすたむらんど徳島プラネタリウムにおける学習投影の検討:具体的な成果には至っていないが、学習投影を学校の教室内での天文学習に関連付けるには、Mitakaを通常のプラネタリウムドーム内でどのように使うのかという技術的な問題が大きいこと等を見出した。 (4) 関係者ミーティング「プラネタリウムによる天文教育」(平成30年12月9-10日、香川大学教育学部附属坂出中学校にて)の開催:本研究の関係者は、地理的に分散し、通常はフェイストゥーフェイスの討議は難しいため、このための機会を設けて、討議および情報交換を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
平成31(令和元)年度は、最終年度であるため、本研究において必ずしも充分でない部分についての研究を重点的に行い、得られた成果を報告する。 (1) 香川大学教育学部附属中学校においての研究授業:平成30年度も研究授業を行ったが、Miatakaの使用/不使用で事後テストでの有意な差が見られない等、必ずしも充分でない点も見られた。有意な差がなかったことが、サンプル数不足のためか、その他の原因によるのか等を知るために、再度、研究授業を行う。 (2) あすたむらんど徳島プラネタリウムにおける学習投影の検討:同プラネタリウム内でMitakaを投影し、プラネタリムと学校の教室での学習との連携の具体的な方法を構築する。 (3) 成果報告:IAUシンポジウム "Astronomy Education: Bridging Research and Practice" が、2019年9月16-18日、ヨーロッパ南天文台(ESO, ミュンヘン市, ドイツ)で行われるので、上述の残されている課題を出来る限り解決し、本研究で得られた成果を公表する。
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Causes of Carryover |
当該年度に予定していた国内出張(日本天文学会春季年会および秋季年会)が、所要により実施できなかった等のため、次年度使用額が生じた。2019年9月にドイツで天文教育をテーマとするIAUシンポジウム "Astronomy Education: Bridging Research and Practice" が開催される予定であるので、これに参加して本研究の成果を報告する予定である。このため、このシンポジウム参加のための海外出張旅費として、次年度の予算とともに使う予定である。
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Research Products
(10 results)