2017 Fiscal Year Research-status Report
社会実装指向型ロボット教育手法の深化および機械工学分野における実践的高度化の試み
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16K00984
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Research Institution | Tokyo National College of Technology |
Principal Investigator |
多羅尾 進 東京工業高等専門学校, 機械工学科, 教授 (80300515)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤原 康宣 一関工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (40290689)
津田 尚明 和歌山工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (40409793)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 社会実装教育 / プロトタイピング / 社会実装指向型ロボット教育 / EV自律走行ロボット / 協働ネットワーク |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究のEV自律移動ロボット開発用教材には,インホイールモータ(ダイレクトドライブ・ブラシレスDCモータタイプ)を採用したことで,500W×2の余裕あるパワーを備えながら駆動部を省スペース化でき,機体内部に開放されたスペースが生まれた本機体は,その活用の柔軟性を有し,各研究室のオリジナリティが発揮された開発に向いていると言える.これに対応する図面および部品表を共有し,三チームそれぞれがプラットフォームに基づく共通ユニットを短期間で構築できた.実装された制御システムでは,汎用PC(メインコンピュータ)より送られた制御指令に対し,インバータを介してインホイールモータが制御され,メインコンピュータにはロボット制御用ミドルウェアROSが実装され,自律走行用のソフトウェア等を効率良く構築できる環境が用意された. この教材を活用し,社会実装教育の枠組みの中で,複数の高専チームによるEV自律走行ロボット開発に取り組む試みをさらに進めた.プロトタイピングの容易化を狙った協働ネットワークを機能させ,それを用いた教育環境の整備に取り組んだ.同協働ネットワークによって,これまでの社会実装教育で培ってきた複数高専によるプロジェクトを効果的に接続した.さらに,一歩前に踏み出して,複数チームが,お互いに得意とするプロトタイピング要素技術を提供し合うことで,密に協働できるよう,その仕掛け作りが試みられた.この開発で蓄積されてきたハードウェア・ソフトウェアのノウハウを共有し,各高専の得意分野に持ち込んだ.協働ネットワークの構築には,ソフトウェア開発分野等で広く使われるチャットツールを用いた.共有される基本ユニットの詳細な用い方・その改良法など議論する場面が見られるようになった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
社会実装教育の枠組み・協働ネットワークで接続された環境の中,実際に三つの各高専にてEV自律走行ロボットの開発が進められた.具体的な進捗は以下の通りである. 一関高専では,プラットフォームにほぼ忠実に従った機体からなるロボットを活用し,ロボット開発用ミドルウェアROSの習熟も兼ねて,車体前後対角線上に設置された測域センサ(LRF) に加え,慣性センサ(IMU)とGPSを取り付け,これらデータ取得など制御システム基本部分の構築が進められた.東京高専では,走行時の旋回半径を小さくするよう,プラットフォームの基本形に対し,インホイールモータの配置を車体の中央付近に移動させた機体を持つロボットに改良した.自由にモータ(駆動輪)のレイアウトを変更できるのは,インホイールモータからなる本プラットフォームならではの利点と言える.屋外で有利となるよう,車体前後対角線上に設置されたLRFは,なるべく機体の下部に取り付けるようにし,この際,ロボット機体の傾きに応じてLRFの2軸姿勢を制御するスタビライザを実装したことによって傾斜のあるスロープ上等においても,本来検出したい周囲の障害物を正常に認識できるよう工夫が施されている.なお,機体の傾き角はIMUによって取得・算出している.和歌山高専では,ハンデあるユーザを対象に道案内をするロボットの試作機を製作した.道案内システムは,環境地図を用意し,自己位置推定・障害物回避(LRFを使用)を行いながら目的地へ誘導することを狙っている.機体には,誘導用ハンドルおよびジョイスティックが取り付けられ,被験者の評価を踏まえながら,直感的な操作ができるユーザインタフェースの実装が志向された.
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Strategy for Future Research Activity |
社会実装教育に向けた,教材・プロトタイピング協働ネットワークを活用し,社会実装指向の経験教育を試行することにより,その効果の検証を行い,加えて,同教育手法の一般化に取り組む.日常の生活空間で機能することが想定された自律移動ロボットプラットフォームを活用することにより,各研究室が各得意分野の質は維持しつつ,多様なサービスを考案,実証する際のプロトタイプ製作に柔軟なモジュール的手法を導入することができる仕組みを活かして進めていく.その際は,より重要となる社会からのフィードバックの獲得・改良に十分時間をかけられるようペース配分に配慮する.
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Research Products
(6 results)