2020 Fiscal Year Research-status Report
「技術者としての地域貢献」を舞鶴市と連携して実施する教育モデルの構築
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16K00988
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Research Institution | Maizuru National College of Technology |
Principal Investigator |
片山 英昭 舞鶴工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (30280407)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丹下 裕 舞鶴工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (50435434)
竹澤 智樹 舞鶴工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (60413796)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 視覚障がい者 / 課題解決 / 地域貢献 |
Outline of Annual Research Achievements |
創造工学(本科4年前期)の授業で取り組んだ内容の中から幾つかを説明する.視覚障がい者を自宅での生活支援のために,自宅内での生活音を文字に変換し,モニタに表示する仕組みを検討した.機械学習により電子レンジの音が識別できることを示した.他の生活音を学習させて,生活音を区別できるか検討する必要がある.視覚障がい者の後方から接近する車や人などを振動で伝える仕組みを検討し,背中につけた2つのマイクに到達した音声の時間差より後方のどちら側から近づいているかを判断できる可能性を示した.舞鶴市にある観光施設である田辺城全体を3Dプリンタで作成した.これにより視覚障がい者が手で城に触ることができ,城を理解することに役立つものとなる.このことが評価されて舞鶴市と協力し,工学基礎研究(本科4年後期)から卒業研究(本科5年)まで継続して,引揚記念館に展示してある引き揚げ船などを3Dプリンタで作成し,製作物を展示することになった. 次に,卒業研究と工学基礎研究の学生たちがグループで,Raspberry Piとカメラモジュールを用いた視覚障がい者の歩行支援システムの改良に取り組んだ.本体をRaspberry Pi 3+からRaspberry Pi Zeroに変更することで小型化に取り組んだが,実現には至らなかった.昨年度のシーズニーズマッチング交流会にて提案があった音声伝達方式について,サラウンド方式を採用する改良を行った.これにより物体の位置を音声で伝える必要がなくなり,感覚的に物体の位置をつかむことができるようになった. 視覚障がい者の歩行支援システムを歩行者用信号機の灯火色認識に特化することを行った.近距離では実際に信号機の灯火色を認識することができたが,道路を挟んだ距離では認識率が下がった.特別なシステムを必要とせずに利用できるように,このシステムをスマートフォン用のアプリケーション化を図った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
実施状況は,工学基礎研究,卒業研究の学生が連携してシステム開発を行うことが継続して実施できていることは評価ができる.しかし新型コロナウイルス感染症の影響により,地域に住居をかまえる視覚障がい者の方への依頼ができなかったり,展示会に参加ができなかったりして,視覚障がい者の方に意見を伺って試作機の改良を行うことができなかった. 昨年度の展示会で頂いた改良点である障害物検出時の音声再生において実施できた.今後は,視覚障がい者の方のご意見を伺い,さらに改良を重ねて,製品化をはかる必要がある. ここ数年間の課題であった創造工学で行ったテーマを工学基礎研究から卒業研究に引き続き行う人員の増加について,テーマ内容の見直しを行うことで,3Dプリンタに関してのみ,継続して実施する人員がでてきたことは評価に値する.今後は,さらに創造工学のテーマ内容を検討し,人員増加を検討したい. 以上のことに加え,現時点でできている試作機の状況では,2021年度までに試作を完了させることは,厳しい.そのため,進捗状況は遅れているとした.
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Strategy for Future Research Activity |
創造工学から工学基礎研究,及び卒業研究へとテーマを継続する学生を増やすために,昨年度に引き続き今年度も創造工学を実施する.創造工学の授業で実施するテーマの内容を,機械学習を用いたアプリケーション製作,また動的なプロジェクションマッピングの製作やIoTを用いたシステム開発などを加える予定である. 創造工学・工学基礎研究及び卒業研究で開発している製作物のうち,視覚障がい者の歩行支援システムにおいて,改良した音声再生方式を音像定位技術を用いた方法について,地元に住居を構える視覚障がい者の方に伺い,その人たちの意見を踏まえてさらに改良を行う.視覚障がい者の方も参加するような展示会に出展し,来場者からの意見の吸い上げを行う.歩行支援システムの歩行者用信号機の灯火色認識について,スマートフォンのアプリケーション化とRaspberryPiを用いたシステムをどちらについて,視覚障がい者の意見を伺いながら,認識率を向上させ完成させる予定である.また得られた成果の発表も行う予定である.
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症による緊急事態宣言の発令などにより,学会に参加してシステムに対する意見や,視覚障がい者が参加する外部展示会において調査やヒアリングなどを実施することができなかったことがあげられる。
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