2017 Fiscal Year Research-status Report
イノベーションに資する工学部におけるリベラルアーツ教育に関する研究
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16K00997
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Research Institution | National Institute of Science and Technology Policy |
Principal Investigator |
浦島 邦子 文部科学省科学技術・学術政策研究所, 科学技術予測センター, 上席研究官 (30371008)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | リベラルアーツ / 工学部 / イノベーション / 起業 / 社会人力 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、現在いくつかの大学で実施されているものとは違う、これからの工学部におけるリベラルアーツ教育に関する施策について検討するものである。1-2年目は、各種データの分析及び国内外の現状把握を主に実施した。昨年度は海外の実態を把握することを目的に、カナダの大学5大学を対象に調査したが、今年度はそれを深堀するために、再度関係する大学を訪問し、インタビューやディスカッションを実施した。 その結果、カリキュラムの問題だけでなく、日本とカナダでは、そもそもリベラルアーツに対する考え方の違いが顕著となった。カナダでは、就職を念頭に、社会に役立つ人材育成を主眼にプログラムを組み、座学よりも実際に行動して学ぶスタイルが多く、こうした取り組みは、企業からも評価されていることが分かった。大学入学前にすでに自分の将来像や、社会に対する考え方や労働に対してモチベーションを高く持った学生が、こうしたカリキュラムを選択する傾向にある。リベラルアーツ教育を受けたものは在学中に起業し、より社会との接点を早く持つものも多い、ということも把握できた。 一方で、我が国ではまだリベラルアーツに関する考え方や取り組みに対して、理解を得られているとは必ずしも言えない。しかし、実績としてすでに事例がある東工大のように、工学系の学生に対してのリベラルアーツ教育は、「社会人力」を養成するには大変有効であることも分かった。 こうした取り組みを通じて、今年度は工学部での教育の在り方や、イノベーションを創造できる人材育成の施策について、具体的なある程度のイメージを把握でき、来年度の取り組みの示唆を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度は海外調査を中心に実施したが、今年度は国内外で調査、特に昨年度インタビューした大学のうち、有用な意見を深堀するために、再度関係する海外の大学を訪問した。また、日本での取り組みを把握するために東工大など数大学を訪問し、リベラルアーツ教育に関する取り組みについて調査した。ほぼ、計画通りに進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
研究最終年として、これまでの成果をベースに補完するような調査を実施する。 特に、それまでの調査から明らかとなった課題を解決するための施策を具体的に検討する。 そのためには、国内外の取り組みの把握を中心に、リベラルアーツに関する今後の方向性や課題に対して、コンセンサスを得ることを目的としたインタビューやワークショップなども企画・開催する。
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Causes of Carryover |
当初予定していたインタビューが先方の都合により変更となり、翌年度に実施することとなった。よって、前年度同様、国内外の関係機関を訪問してインタビューの実施、および研究成果を発表する予定である。
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Research Products
(15 results)